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第6話

 私はそのロボットと対面した。

『ハハハ、まさかそちらから出てくるとは思わなかった! よっぽど破壊されたいと見た!』

「きんきんとうるさいな。そのような声はきっと声帯が古いシステムなのだろうな。……どうだ、破壊されるのはお前の方なんじゃあないか?」

 私は怖かった。だが、精一杯勇気を振り絞ってその言葉を言った。

 なぜだか隣に彼女が居るような気がした。

 それはまやかしだと解っていたが――彼女が居るような気がしてならないのだ。

「彼女を……彼女を殺したのは、この世界だ……」

『彼女? ああ、あのニンゲンの生き残りか? 大丈夫だ、あいつは死んだが、それは我々(ロボット)の進歩に一役かってくれることとなるだろう! 詳しくは聞いたことはないが、あのニンゲンでついに我々の世界が確固たるものになるのだよ』

「どういうことだ……その言い分じゃあまるで」

 ――ほかに人間が生きていたみたいじゃあないか。

 私が今までやってきた行動は、私が生きてきたことは無駄ではなかったのか。

『ニンゲンは生きている。それも、私たちが長く生きていくために、我々の発展の礎となるのだ』

「礎……それは間違っている!」

 モーションはなかった。

 その刹那、私は横からモロにそのロボットの攻撃を受けた。

「ガハッ……!!」

 私はなんとか必死の思いで倒れるのを堪えたが、しかしフレームが曲がってしまった。

 このロボットは、あまりにも重たい。それていて素早い。それだからか攻撃力も高いのだ。

 一度目こそフレームが曲がっただけで済んだが、これを上から食らってしまったら……と思うと竦み上がってしまう。

 だが、私はそこを乗り越えなくてはならない。

『……ほほう、俺の攻撃を受けて倒れないロボットがいるとはな。貴様、軍だったと聞くが本当か?』

 その言葉に私は頷く。とはいえ、それも今は昔だ。平和となってしまったこの世界に軍などという平和を脅かす存在など必要ない。平和だから仕事がないのに、給料は支払われる。

 気が付けば軍の存在は『国家』からも市民からも除け者扱いされていた。

 何が悪いというのか。軍という存在は、今まで市民や『国家』に多大な影響を与えてきた。そして、私たちがこの惑星に定住するまでの道のりは、軍無くしてはありえないことだったではないか――私は何度もそう考えていた。

 だが、それを唱えたロボットは否応なく解体された。私もそうされるところだったが、上司が頭を下げてくれたことで私は生き延びてしまった。

 生きる価値もない世界に、生き延びてしまったのだ。

 そんな中、私は出会ったのだ。――あの少女に。

 少女は私の生きていく上で、もはや必要不可欠な存在となっていた。

 だから私は彼女を隠して――いつかはどこか遠くの惑星に行こうと考えていたのだ。

 だが、世界は――世界は、そう甘くなかった。

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