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勇者と魔法とエッチな防具  作者: 姫宮 雅美
レベル04「狙うのは 女戦士の 爆乳だ!」
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(激闘の結果)

「キャーア!!」

 絹を裂くような、女性の悲鳴。意外と可愛らしい声だった。

 その声の正体とは?


「ククク、クロエさん!?」

 審判員のマリーが叫び、女戦士を指差した。先ほどまで、ずっとカイトを目で追っていたので気が付かなかったのだ。


 その声で、この場所に居た全員が、試合場中央に立つクロエを見つめる。

 銀色に光る鎧が、装着前の各部品の状態でグラウンドの上に散らばっていた。

 そして、クロエの格好。体操服とブルマと、そして下着の上下が各部位に分解されて宙を舞っていた。


(スッポンポンじゃん!)

 目撃した皆は思う。


 大きな胸を右手で隠し、左手で下半身を覆う。しかし、視線を感じてか、しゃがみ込んでいた。

 腰に差していた剣も、地面に転がっている。



「し、試合終了! クロエ・ブルゴーは試合続行不可とみなします。よって、カイト・アーベルを、今回の剣術大会の優勝者とします!」

 審判長のマリー・アレンが右手を挙げて、勝者を発表した。


「おおー」

 会場全体からどよめきが起こる。

 ひん曲がった剣ではあるが、カイトはそれを持ち両足でしっかりと立っていた。少年の目は、全裸のクロエに釘付けだ。


「クロエさまー!」

 彼女の親衛隊員が大勢寄ってきて、自分たちの着る制服のブレザーを、大柄な少女の背中に掛けてやる。

 クロエ本人は気が付いていないが、彼女のファンもアンナに劣らずに一杯いる。アンナと違うところは男子が一人も居ない。クロエは、彼女たちの白馬の王子様なのだ。

 その王子さまが辱めを受け、一同はいきり立っている。

 クロエ親衛隊は、学園の正式なクラブ。部員たちはカイトを見る。

 何とも悪い空気だった。


「キッ!」

 その中の一人に睨まれて、カイトは体を引いた。

「勇者さまのクセに、相手をそこまで辱めるんですか!」

 クロエの背中に優しく手を乗せるのは、ファンクラブの部長だった。二年生の女子生徒は一緒に試合場から退場する。



「カイト君、おめでとう! 凄い凄い! あの大戦士クロエ・ブルゴーさまに勝つなんて!」

 マーガレット・ミッチャーが駆け寄って、彼に飛びつき抱きしめる。


(こ、こんのー、泥棒猫!)

 真っ先に抱きしめたいマリーであったが、審判の立場上、自重する。ギギギと歯ぎしりをしていた。


「では、これにて大会の終了宣言を……」

 気を取り直したマリーが、締めの挨拶を語り始めた時だった。



「異議あり!」

 観客席から聞こえる男の声。

「学園長!?」

 マリーは声の方を見て驚く。

 手を挙げて立ち上がっていたのは、ティマイオス王立学園の学園長ブルカ・マルカであった。

 今日は白いマントを羽織っている。屋外ではこの姿なのだ。


「この剣術大会で不正が行われました。そのことは、そこに立つ勇者君が一番良く知っています。そうですよね? カイト・アーベル君」


「は、はい……」

 顔をうつむけるカイトは、頭から大量に汗を流す。ポタポタと落ちて地面を濡らす。


(たたた、退学だ)

 学園内で不正行為を行った者は、即刻退学だ。学業でもカンニングを行えば退学だし、許可されない魔法や特殊能力を授業で使えば同様だ。



「ワタシの……いや、オレの負けです、学園長」

 がっくりと肩を落としたクロエ・ブルゴーは、観客席前にペタンと地面に座ったまま、弱く言った。

「どうしてですか? 理由を聞かせて欲しい」

 クロエの斜め後ろに立つ学園長は、優しく問う。


「『炎の鎧』には、魔法を打ち消す効果があります。特殊なアイテムに対しても対抗するシステムがあります。だが、その効果を乗り越えて鎧をバラバラにされました。オレ……ワタシの完敗だ」

 地面を右手で殴る。

 下級生が着ていたパツンパツンの制服から、のぞく胸の谷間がプルンプルンと揺れていた。留めるボタンが千切れそうだった。


(これこそが、おっぱい山脈だ!)

 カイトは、場違いにもそんな印象を持つ。糾弾されている当事者側なのだが、不謹慎な自分の事には気が付いていない。


「彼は、彼らは、一回戦から不正を行ってますよ」

 学園長は、カイトとアンナの姉弟を見ながら指摘をする。

「いいえ、負けは負けです。不正の申告は、対戦相手からしか出来ません。たとえ、審判が把握していても、被害者側の申し出がなければ、勝敗は動かない。それに、申告が出来るのは試合会場内に留まっている間だけだ。確か、そんなルールですよね」

 クロエはマリーに向いて、厳密なルールの適用をお願いした。

「ええ、知っていましたが、巧妙すぎて証拠が押さえられていないのです。ですから、審判の権限ではどうにもなりませんでした。試合も止められないのです」

 マリーも少し後ろめたくなっていた。全試合が、完全にカイト贔屓の判定なのだから。

「ま、いいでしょう。本人たちが、それで不満が無ければね。では、大会の終了宣言をお願いしますよ、生徒会長のマリー君」

「分かりました。では、これにて大会の終了を宣言します! 大会に参加した皆様の健闘を称えます! では、解散!」


「おおー!!」

 会場全体からのどよめく声。

 本年度の剣術大会は、魔法Aクラスの一年生、勇者カイト・アーベルの優勝で終了した。



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