9話
この先どうしようと悩みながら白んでいる空をかれこれ30分くらい見上げていると、何処からともなくこちらにむかって来る一団があった。
一つ言っておくと、いつのまにかこちらの世界へ誘拐された倫にとってこの世界の常識また、法律などがまったく分からないのだ。
と言う事で、倫は「三十六計逃げる如かず♪」
そんな事を考えながら近場に身を隠してスキル「イミテーション」を発動させた。
前にも説明したとおり、こちらの姿を完全に隠すことができる壁が発生するのだ。壁に隠れつつその一団の言葉に聞き耳を立てた。
「いやー、本当に最近は楽になったよなぁ♪♪」
「この国にあの力が入ってからこっち仕事がやりやすくって仕方ねぇ!」
「それもこれもあの方のお陰だぜ」
「前なら少し小突いた程度でも煩かったのに、あの力のお陰で黙らせるのも楽になったしな」
こんな話をしながらその一団は去って行った。
「一体この世界はどうなってるんだろう?・・・。」そんな疑問を呟きながら兎に角この場所から離れることにした。まず、捕まっていた施設の近くだし先ほどのように力技で連れ戻されるかもという不安があったからである。
天の声が言っていた通りまだ力が足りないのである。
ざっと計算してみても、数倍、数段上なのだ、そんなことを考えながら歩くこと数十分いつの間にかビル群は背後に消え、倫の周りには木々が生い茂る為、少ない太陽光を陰らせていた。
ここがどこだかも分かってないが、どこかで見たことある街並みだった。それは倫が特に意識せずに住んでいた街並みにそっくりだった。
何を隠そう、ここは倫が生まれた街のいわゆるパラレルワールドなのである、そして 生まれた街(欧島市)はこの世界ではフォームウォッチが与える力が全てだった。
(ぐーーーーるるるるる)
力はあれど数十時間何も口にしていない事に気付き腹の音がなったのだった。
情景描写が難しいですね(; ̄O ̄)