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旧勇者連盟-過去-

「いやぁ~、絶景かな、絶景かな」

「どこがですか、ジャック!見渡す限り死体の山ですよ。ああ今度こそ死ぬかと思った!!」

「何だい他人事みたいに、君があの時、重臣に成り代わって誘導しなけりゃこの光景だって生まれなかったろうに」

「別に他人事のつもりはないですよ。はぁー。私も大量虐殺者かー、ついていく人間、間違ったかなー」

「本当に。パムロさんの悪名がこの世に広がらないことがもったいないですわね」

「ラッカル…悪辣さはあんたほどじゃないですよ~だっ!あのエグい拷問何食べたら思いつくのよ。炎鱗公国の王子さらって、ミッドガルドの仕業だと思わせてってこの戦争火種つくったのもあんただし」

「…果物とかでしょうか?」

「確かにあんた、果物好きよね…ジャック、どうしたの?」

「魂喰らい!」

死体に紛れていた男がジャックに襲い掛かる。

「ふむ。同系統の術者か、ふむ珍しい」

「なっ、俺の技が効かないだと…ならば牙突破砕がとつはさい!」

非物理の技が効かなければ物理技というシンプルだが

わかりやすい理屈で男が攻撃をしかける。

だが、男の刃をジャックは片手でつかみ取る。

金剛不壊こんごうふえ、近づいたね」

「同系統といったな、俺の技が効かないようにお前の技は俺にも効かな…」

「ばいばい」

「なっ」

「私に触れられたものは魂をとられる、単純だろ?」

そして声を張る

「なぁ…もう一人いるだろ!」

そして歩いていく

「君だね」

兎人族の女性だ。

「っ…は…覇追…!!」

「黙れ」

「ひっ…」

「君の力は戦争の中で見させてもらった…利用価値がある…だから、私に君を殺させるなよ。私に…服従を誓え、そうすれば命を救ってやろう…方法はそうだな…裸にでもなってもらうか」

「…わ、わかりまし…た」

「ん…?ああ、違う。口を開けて受け入れろ」

アガツミはそういうとしばらくの間、彼女と舌をからませ、涎を嚥下させ、こう言った。

「君のこれまでの感情も、これからの感情もこれで私には筒抜けだ。そして…私の命令にも逆らうことはできない…従わなければわかるね?」

「……は…はい」

彼女の首に手に文字のようなものが浮かび上がる。

「隷属の術があるとはいえ、それだけの力だ。君にはうちの幹部の一人になってもらう、なんせね見ての通り人材不足だ。だから名前を与えよう」

「…」

腕を組み、思いついたとチャーミングに人差し指を立てる。

この惨状を引き起こした人物にしては可愛らしい仕草だ。

「シンプルにこうしよう、君の名はラビット…」

そして手を伸ばしこう続ける。

「ようこそ我が、旧勇者連盟へ」


私は”一騎当千”と呼ばれた軍人だ。

元戦争奴隷だった私は、奴隷時代はコロシアムで見世物にされていた。

幸いにも才能があった私は異能に目覚め、軍に引き抜かれミッドガルド王国の軍人となった。

軍に引き抜かれた後は獣人族への差別を受けながらも

実力で全てをねじ伏せてきた。

そんな数年を過ごしてみると徐々に私を認める奴らも出てき始め

成人を迎えるころには私は仲間として認められ”一騎当千”の2つ名を得た。

切磋琢磨した仲間は私の目から見てもそれなりの練度で

頼もしい同僚だった。

軽口を叩いて、くだらない冗談も言い合った。


それが、一瞬でみな死んだ。


規格外の異能に違いない。

それに加え、相当綿密な準備の上で罠にはめられ殺された。

正確に言えば”将軍”だけは生きていたが、すぐに殺された。

この時の私の感情は一言で言い表せる。

絶望だ。

そして私は彼女に声をかけられた。

彼女は私を救ってくれるといった。

おかしな話だ。私たちのミッドガルドの軍を、敵国の炎鱗公国の軍を壊滅させたのは彼女たちなのに。

だが、私が感じていたのは仲間を殺された恨みではなかった。

幸福感にも似た、そう正しく救いだった。


私だけが命を奪われないで済む。


怖かった。殺されることが、

いやそれ以上にこれほどの虐殺をやってみせ、

そんな存在が声をかけてくるのが怖かった。

彼女に口づけをされ。

術を掛けられた瞬間は恐怖と幸福感と確かに感じた悦楽で分からなくなった私は恥ずかしい話失禁してしまった。そこには亡くなった彼らが認めた”一騎当千”の軍人である私はいなかった。

私は彼らと過ごした記憶や魂さえ汚し、命と引き換えに売り渡した。

そして私は、身も心も悪魔に従属を誓うことになったのだった。

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