23/27
朝焼け
朝目を覚ましたのはベッドの上、アガツミはいない。
彼女は元の姿で朝焼けを見ていた。
俺に気づいて、こちらを見るも。
すぐに朝焼けに目線を戻す。
ああ、朝がこんなに綺麗だと思ったことはない。
有限の命は今日という一日分をまた減らしていく。
それは、悲しくて、同時にとっても愛しい光景だった。
しばらく並んで朝焼けを見ていると、とてとてと廊下を歩く音が近づいてくる。
「お姉ちゃん、お兄ちゃんご飯できたよ」
自分が助けたくせに、またアガツミは泣きそうになってこらえる。しばらく顔を俯けてから、顔を起こし、ああ、今行こう!と元気よく答えた。
あ、ちょっとお姉ちゃんくすぐったいと答えながらも抱きかかえられおでこにキスをされ嬉しそうに笑う女の子。
俺はその姿を見て…ゆっくりと歩きだす。
この旅はまだ始まったばかりだ。未だかつて交わることのなかった「勇者」が人の世界に交ざり人を理解しようとしている。人の世に落ちたこの一つの雫がどのような波紋を広げていくのか、その先をまだ俺は知らない。
ああ、また一日が始まる。




