「わたしとモルテナのこと」
ニィナは負傷してしまい落ち込むことに。でもモルテナは彼女を励まして、モルテナ自身の過去の話をします。また、ムクロとレイスの話がありそれも過去の話があります
…わたしはモルテナの家で治療していた
幸い外傷だけで特別動かなくなる傷はおっておらすに済んだ
傷に絆創膏を貼り、負傷がある部分は包帯を巻いた
治療が済んだらモルテナもムクロもレイスも安心したようだ
「ありがとう…」
「気にしなくていいよニィナちゃん。今度は気を付けてね」
優しいお手伝いさんが治療してくれて良かった
「しかし…こうやって平民が襲いかかってくるとは」
ムクロが言う
「あなた。いや、お手伝いに来てる全員はもし万が一の場合に備えて武器を持ったほうがいいわ。特に独り身の人はね」
「わかりましたモルテナさん。全員に伝えておきます」
そう言ってお手伝いさんは部屋の外に出る
「ニィナ。今日のことはもう忘れましょう」
「…」
それでも悲しい現実だったことには変わりない
「二人きりにしましょう。娘様、外にでますよ」
「うん。ニィナ、気にしないでね」
ムクロ、レイスは外に出る。残ったのはモルテナの部屋にいるわたしとモルテナだけになった
「難しいわよね…あなたは平民を信じてたのよね?」
「…うん」
わたしはちょっとしか答えることができない
「大丈夫よ。ここのお手伝いはあなたを裏切らない。そしてわたくしも裏切ることはしない。それは約束できるわ」
「…うん」
どうしてでも薄い反応しかできない
「…ひとつ。わたくしの話をしましょう。わたくしの先祖は不死の最高位のデスと呼ばれる死神なの。悪魔の国の守り神で、黄泉をも支配した、そんな神様なの」
「…神様?」
わたしはその話に興味を持ってモルテナの目を見た
「そうなの。だからデスは今いる悪魔王さんの上の立場だし進言もしたほどなの。でもデスは亡くなって、わたくしと親が残ったのよ」
そんな凄い不死の子孫だったなんて
「わたくしは悪魔王さんにタメ口で話せるし親もよく悪魔王さんに提案、発案をした。軍師よりも影響があるから、悪魔王さんはとても信用していたのよ」
「…その親は今どこに?」
そう言うとモルテナは笑顔になる
「悪魔の国から離れて遠くの山で家作って静かに暮らしているわ。犬なんか飼ったりして次はブリーダーになりたいの?なんて笑ってしまったわ」
面白い親だ
「そうなんだ。わたしの親はもういないけど…」
「気にしなくていいわ。ただ親がいるだけなの。この家もわたくしのために建ててくれたし…ニィナ。今度はわたくしがあなたの世話をするわ。大事にしてあげるわね」
モルテナ…!わたしは違う意味で涙が浮かんでくる
「ありがとうモルテナ」
「お礼なんていらない。だから早く気を取り戻してね。いつも落ち込んでいるのはよくないから」
うん。もう気を落とさない。モルテナ、もちろんムクロとレイスがいるのならわたしはまた前を向くことができる
わたしは大切で信頼できる人がいて幸せなんだと強く思った
~
アタシはレイスとともに用意された2人部屋にいた
あの殺した平民はずいぶんとひどいことしてたね。ニィナを殺そうとしたんだから。モルテナ、彼女マジギレしてたんじゃない?
モルテナは怒る表情はしないものの、あの雄叫びは基本キレている証拠。またつまらない平民を殺したねえ
親友のモルテナだからどういう感情なのかはすぐにわかる
…なんか一服したくなった。備え付けである灰皿を手に持ってタバコに火を付けた
「おや娘様。タバコですか?」
隣にいるレイスが言う
「別にいいじゃん。お父さんにも止められてないしうるさい軍師たちはいないし」
ふー…この一服が美味しい。最近のタバコは結構良い値段するねえ
「娘様ってここに来る前は色々と婚約届けきましたよね」
ん?突然変な話が
「そうだよ?でもさ、アタシの兄弟姉妹が嫁行ったり婿行ったりしてたからアタシが行かなくても意味ないし」
「…ほとんど同盟国からの縁結びでしたからね」
ふー…アタシは結婚とか全く興味ない。むしろみんな婚約してるんだからアタシがいなくなったらお父さん寂しくなる
「嫁行ったら絶対つまらない生活になるから、アタシは全部断っただけ」
下手したらアタシの体目的で嫁にしたいなんて変態がいたかもしれないね。残念だけどアタシの体はただじゃないから
「ある意味正解かもしれませんね。上の軍師は色々言ってましたが」
そうだ。上の軍師で思い出した
「レイスだって、若いのに上の軍師に全然提案や発言を認めてくれなかったでしょ?」
「そうですね…私の発言はほとんど却下されて毎日落ち込むときがありましたから…」
お父さん指揮の悪いとこ。上の軍師の威厳が強すぎて他の悪魔たちが全く進言できないってやつ。そこを直せと何度も言ってるのに
「でもさ、レイスは信じてたよ?若いレイスだから提案することは全部信じてた。どんな武器がいい?って言ったら大斧が一番ですと言ったから」
「ありがとうございます。私も娘様なら信じてもらえるかも。と思ってお話しましたから。そう言ってもらえると嬉しい気持ちです」
アタシの武器は全部レイスが提案してくれた。だからアタシはこんな強い武器を持てることができたのだ
「ま!上のうるさい軍師いないしレイスもアタシもモルテナの元で生き生きしてるからいいじゃん!」
「はい。これからも娘様と共にいます」
ふー…タバコ吸い終えた
「そうだね…ニィナ、どうしようか?」
「ニィナさんですか…」
するとレイスは自分の荷物から何かを取り出した。それは本だった
「悪魔の本?」
「はい。何かニィナさんのことでできることがありそうですが」
ちょっとの間レイスは本をめくって、手の動きが止まった
「これです」
なんだろ。アタシはレイスのそばに行く
「なになに、悪魔降臨の術?」
「そうです。これはまだ非力な悪魔にやる術ですが、ニィナさんにもできそうですね」
それは悪魔の魔法陣を作って呪文を唱えるだけでいいらしい。対象者に何も痛みは感じない
「人間にもできるものなの?」
「別に悪魔のみしかできないわけではありません。これでニィナさんが強くなれば大きな戦力になります。後は彼女自身の経験です」
確かにこれは良さそう。モルテナもきっとオーケー貰えるだろうしニィナにも説明すればやっていけそうだ
「わかった。じゃあ日を改めてやろうか」
「はい。全部私がやります」
これでニィナも立派な悪魔の力を身につけるのか。それは楽しみだね
続く
ここまで読んでくれてありがとうございます!
悪魔降臨の術。ニィナにやるとどうなるのか?それはまた次回の話で