「わたし悪いことしてないのに」
襲撃を終えてモルテナたちは貧困の人たちに金と物資を送ります。しかし裏ではどうもこのモルテナのやり方に不満を持つ平民が…?ニィナが暴力されるシーンがあります
「…はい、これをあげるわね」
わたしたちは襲撃した翌日、貧困の家にお金や物資を届けに行った
わたしと同じ、貧しい暮らしをしている人たちに恵んでいるのだ。それだけでモルテナはとても素晴らしいのだから
「ありがとうございますモルテナさん!」
「ついでにこれもあげちゃうね」
後ろにいたムクロが物資、つまり食料をあげた
「こんなものまで…!本当にありがとうございます」
「いいんですよ。モルテナ様がやってるのなら」
隣にいるレイスも笑顔で対応する
「じゃあね。また困ったらわたくしのとこに来なさい」
「はい!いつかお礼させてください!」
そう言って家をでる。人助けってこんな気持ちいいものなんだ。とモルテナの視点からしてそう思った
「わたしがあげる立場になるなんて」
「ふふふ。ニィナは既にわたくしと同じ。だから大変立派な救いになるのよ」
笑顔をするモルテナ
「お父さんもこうやったらいいのになあ」
「悪魔王様があまり人並みに出てはいけませんからね」
そうなのか?悪魔の国の事情はよくわからないが…
「さて、まだ回るから夕方になるまで続けましょう」
「うん。モルテナ」
わたしたちはまだまだ貧困の家を回るつもりだ
しかし…その横の樹木に男性がいた。モルテナたちは気づいてない
「くそ…モルテナめ。それにニィナまでモルテナ側につきやがって」
「今に見てろ。ニィナを拷問してやるからな」
~
夕方。カラスが鳴く頃にわたしは帰ることになる
「モルテナは…もう寝てるよね」
「うん。夕方になるといつもベッドでおねんねだからね」
「前から変わりませんね」
ムクロ、レイスはそう言う
「わたしはそろそろ帰るよ。2人はこれからもモルテナの家にいるんでしょ?」
「そうだよ~。お父さんに許可取ってあるからずっと大丈夫!」
「私も。ではニィナさん。また会いましょう」
わたしはムクロとレイスにバイバイして去っていく
しばらくわたしが遠くにいても2人はずっと見てくれた
いつもモルテナの家にいていいけど、たまには家に帰らないとね
~
夜
「ふわああ…」
わたくしは目覚める。すっかり夜になってしまった。わたくしはそもそも夕方に弱い。夕方になると眠たくなってしまうからだ
ん?目覚めるとすぐ側にムクロとレイスがいた
「あら。ムクロにレイス」
ムクロはイスに。レイスは立っていた
「やっほー眠り姫さんおはよう」
「よく眠れましたか?」
う、うん。わたくしの部屋は鍵ないけど勝手に見守れても…
「暇なのあなたたち?」
「うん!とっても!」
…なんとも正直で素直で良い笑顔ね
「ふふふ…というのもやっぱりニィナさんがいないとどこか面白くないですねって話を娘様としゃべっていました」
そうね。ニィナがいれば面白いのは確かね
「あ。そういえば。今日さ。貧困の家を回ったでしょ?」
「それがどうかしたの?」
ムクロってたまに悪魔王の娘らしく進言するときがあるの
「アタシたちが回ったときに…どこか気を感じたんだよね」
気?それはわたくしにもあるし、ムクロもレイスもあるはず
「そうですね。私もありました。その悪い気というのを」
「具体的には?」
わたくしがレイスに言う
「はい。何かをしようとした気…というのか。ストーカーというのですね。気はありましたけど特別襲っては来なかったため無視しましたが…」
…気?ストーカー?悪いもの?
わたくしはとてもイヤな予感がした。その悪い気というのはわたくしだけではなくニィナに向けているものであれば…
…まさか、ニィナが危ない?
「ムクロ、レイス。今からニィナの元に行くわ」
「わかった?ニィナが危ないって?」
「すぐに行きましょう」
わたくしはすぐに普段着に着替えて大鎌を持ち、外にでる
待っててニィナ…!
~
ふう…
夜になりご飯を食べて一休み。これからはモルテナのそばにいたいなとは思っている
モルテナもそうだしムクロ、レイスがとても良い人なのだから。いつまでも仲良しでいたい人だ
でもわたしには何ができるだろう。前に人を初めて射殺した程度に終わっているから、もっと武器を持って活躍したいけど…
わたしは非力だ。モルテナのような、ムクロのような、レイスのような、戦闘能力なんてない。普通の人間に変わりないのだから
何か頼れる武器でも買ったほうがいいかなあ
とんとん
玄関のドアが鳴った。こんな夜になんだろう?
わたしはドアに行き、開けた。そしたら突然捕まれた
「きゃ…!」
「ニィナ!いい加減にしろ!」
そこにいたのは男数人の姿があった。全員が夜でもわかる怒りの顔をしている
「な、なに…!?」
「ニィナ。てめえはモルテナの助けをして俺ら中層や富豪の邪魔をしている。だからてめえを倒すことにした!」
わ、わたしが!?
あまりにも力があり、わたしはすぐに手に縄をきつく締められた
「な、なんで!モルテナは悪いことなんてしてい…」
ぼこ!
わたしは顔を殴られた
「うるせー!貴様はもう悪魔なんだよ1」
ぼこ!どこ!顔だけでなく体の隅々まで殴られた。痛い…!
「や、やめて…お願い…!」
「やめるかよ!悪魔は消えろ!おい!そろそろナイフを持て!」
わたしは殺される…!?夜でもわかるナイフが出てきた
「あ…あ…」
「残念だったな。悪魔は取り除かないといけねえ。さあ死ね」
モルテナ助けて…!わたし…ここで死にたくないよ…!
「うがああああ!!」
…!?後ろで悪魔のような雄叫があった
そして男が倒れている。まさか…モルテナ…?
「な…モルテナ!」
「うあああああ!!」
「汚らわしい人間ども!死ね!」
「私たちの友達を…許さない!」
これは怒りだ。モルテナたちの怒りの声だった。モルテナ、ムクロ、レイスは攻撃をする
当然男たちはあっという間に殺される。いつのまにか死体のみが残った。怒りが勝った。わたしは一安心したが…
怒りが済んだモルテナたちはすぐにわたしの元に来た
「大丈夫?ニィナ!」
「すぐに縄を斬ってあげるね」
ムクロは大斧の斬るほうの刃で縄を斬ってくれた
手が自由になった瞬間、わたしは涙を流した。あまりにも悲しいからだ
「モルテナ…ムクロ…レイス…わたし…うわあああん!!」
わたしは泣いた。モルテナは優しくわたしを抱きしめてくれる
「よしよし…悲しいことね…まさか平民がニィナを襲うなんて…」
「正解だったね。ナイフ持ってたから一歩遅かったらニィナが殺されたかもしれない」
「全くです。とにかくモルテナ様の家に行きましょう。怪我も治療しないといけません」
みんな優しい口調でわたしを慰めてくれた
「立てるニィナ?わたくしの家においで」
「うん…立てるよ。モルテナの家に行きたい」
わたしは外部の傷と心の傷、両方の傷を受けてしまった状態で家から離れることになった
わたし…悪いこと…してないのに…
続く
ここまで読んでくれてありがとうございます!
うん…ニィナはただモルテナの手伝いをしてるだけなのに悪魔と言われて死ぬ一歩寸前まで追い込まれていました。少し遅かったら殺されたかもしれません。とりあえずモルテナの家に向かいます