王様との謁見
「「静粛にっっ!!!」」
この大きなホールに、どうやったらこんなに響き渡るんだろう?と思われる程の大きな声は、リンとした響きを纏っていた。
今までの周囲のざわめきが嘘の様に静まり返る。
真たち家族は思わず、声のした方を見る。
大きなホールの1番奥に、4段くらいの階段で小上がりになっている場所があった。
そこには立派な大きな白い椅子が2つ。
座っているのはとても品の良い初老の男性と女性。
その2人の横に立つ、身なりの良さそうな男性。
静粛に、と声を発したのはおそらくこの男性だろう。
泣いてる陸を軽く揺すりながらも、真はこの状況を理解しようと脳みそはフル回転だ。
すると大きな椅子に座っていた男性が立ち上がり、ゆっくり話し始めた。
「この度は急な召喚で驚かせてしまっている事、先にお詫びしよう。
私はこの国の王、アーノルド・ハウザーじゃ。
この国は今、危機に直面している。
どうか勇者様、この国を助けて頂きたい。」
。。。
。。。。は?
。。。。。。、え?
言っている言葉は理解は出来ているが、意味が分からない。
勇者?一体この老人は誰に向かってそう言ってるのだろう?
家族の反応も気になり思わず美咲や桜の顔を見ると、美咲は真と同じ様に面食らった顔をしているが、まさかの桜は目を輝かせている。
桜は「異世界転移、来たコレ!」とか小さい声で言っている。
あぁ、確かよくネットフリッ○スで異世界系のアニメ見てたな。
いや、でもコレ現実なんだけど?
真に抱っこされていたお陰で、やっと泣き止み始めた陸は、普段と違いすぎる雰囲気を感じてなのか、ギュッと真の服を握りしめている。
その感覚が真をギリギリ冷静にしてくれていた。
何も言葉を発しない家族に、また周囲はざわめき始めた。
それを悟ったかの様に、この国の王だという老人は、静かな所で状況を説明させてくれと言ってきた。
やっと真の口から出た言葉は、「そうしてくれると、助かります。」という、何とも平凡な回答だった。
いや、でも仕方ないよな?
さっきまでサイゼ○ヤでメニュー見てたのに、暗くなって明るくなったと思ったら、全く違う場所にいたとか普通は理解が出来ないよな?
果たして説明を受けて、この状況が理解できるのだろうか。。。