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ヴェギーにお願いすると、彼は触覚をピンと伸ばして返事をし、隕石に向かってピョンピョン歩き出した。
頼りない見た目ではありながら、高熱や強酸をものともしておらず、やはり身体がとても丈夫のようだ。
ヴェギーは隕石に近付くなり、表面に付いた赤く輝く石を美味しそうに食べ始めた。
【エネルギーを3獲得した】
そこで隕石が気になって空を見上げると、数ある中の1つが急速に大きくなっていることに気付く。
この周辺に落ちるかもしれないので、今すぐこの星を脱出すべきだが、ヴェギーがエネルギーを求めて周りを探検しに行こうとしていた。
すぐ連れ戻すようロアへお願いすると、私は船内へ飛び込み、大慌てで離陸準備を進める。
ハッチが半分ほど閉じたところで、ロアとヴェギーが隙間から滑り込み、私は即座にロケットエンジンを始動した。
浮き上がる宇宙船内のスクリーンに映るは、この船の軽く10倍はあろうかという大型隕石。
直撃はおろか、近くに落ちるだけでも、衝撃波で船が吹き飛ばされてしまう。
赤色ランプで染まる船内に警報が鳴り響く中、私たちはただただ祈ることしかできない。
そして数瞬後――隕石が地表へと到達し、その衝撃波で船が激しく揺れ動き、制御不能に陥る…………が、辛うじて持ち直し、墜落は免れた。
無事に重力圏を抜けたところで、私たちは手を繋いで万歳し、帰還の喜びを分かち合った。
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