選ばれた男
男は朝食を食べ終え、朝の支度をし会社に向かった。
会社に向かう間、朝のニュースの事を考えていた。
男は普段ゲームは全くしない。
だが、〈ゲームをして失踪した〉
このワードが頭から離れない。
何故なら、ゲームで失踪するなんて聞いた事がない。
非現実的すぎる話だからだ。
確かめたい気持ちと
ほんとに失踪するかもしれない僅かな不安。
お金の心配は全くない。
そんな事を考えている間に会社に着いた。
5月9日(金)午前8:00
会社のロッカー室
「おはよう!どうした?何か考え事?」
同僚で友人の杉山 海人だ
「おはよ。あ、海人ってゲーム好きだったよな?
〈イーターきのこ〉ってやってるか?」
男は海人の顔を見てゲーム好きな事を思い出し質問した。
「お、ゲームの話とか珍しいな!
《イーターきのこ》知ってるぞ。
社会的現象を巻き起こしたからな。
でも、プレイはまだしてないんだよ。」
普段ゲームの話をしない男が
ゲームの話を振ってきた事が嬉しくて
やや前のめりになりながら答えた。
「やってないか。そうか、、、」
《イーターきのこ》をプレイしていたら
失踪のニュースは、何かの間違いだと思えたのだが
海人がまだプレイしていない事で
一抹の不安が男の中に残った
「でも、どうしたんだ?聞いたって事は何か知りたかったんだろ?」
海人は首を傾げた。
「朝のニュース見てないのか?」
男は質問を質問で返した。
「俺、朝ニュース見ないんだわ。何かあったのか?」
「いや、知らないなら良い」
男はそう答えると仕事場のデスクに向かった。
「あいつ、どうしたんだ。ま、考えても仕方ないか。
いつも通りっちゃいつも通りだし」
と海人は独り言を呟いた後デスクに向かった。
男は仕事中も《イーターきのこ》の事を考えていた。
昼休みになった
5月9日(金)12:00
周りの同僚に朝のニュースを聞いた。
だが、誰もそんなニュースは見てないという。
そんな筈はないと男はネット検索をしてみた。
だが、《イーターきのこ》で失踪したという内容の
ニュースは何処にもない。
見間違いだったのか?と思ったが
《イーターきのこ》という名前は
朝のニュースを見るまで全く知らなかった。
目にはしていたかもしれないが
ゲームには全く興味が無いので記憶には残っていなかった。
モヤモヤした気持ちのまま定時になった。
5月9日(金)18:00
今日は残業もないのですぐに家に帰る事にした。
帰宅中も《イーターきのこ》が頭から離れない。
きっと疲れが溜まっているだけだ。
男はそう考え帰宅したらゆっくり休む事にした。
家に着いた。
5月9日(金)19:00
玄関を開けると謎の箱が置いてあった。
鍵はかけていた。
同居者は誰も居ない。
男は恐る恐る箱を開けた。
中には<貴方は選ばれました〉と
書かれた手紙と
ゲーム機一式
そして、《イーターきのこ》のソフトが入っていた。
男は叫びそうになったが必死に耐えた。
《イーターきのこ》で失踪した
朝のニュースが頭をよぎる。
忘れようとしていたのに
目の前に何故かそれが現れた。
男はあまりの恐怖で玄関で気絶した。
名前を男にしてるのはわざとです。
敢えて伏せています。
自分が見たニュースを誰も知らないのは恐怖ですよね
そして、何故か自宅に現れた
ゲーム一式
今後、どうなっていくのか!
楽しみにしていただければと思います