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【イーターきのこ】  作者: 椿 桜
そのゲーム危険なり

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19/19

失踪事件

午後10:00


~YouTVの配信画面~


「本日発売されたイーターきのこをやっていきたいと思いまーす!!」


恐らく、最速実況。

ゲーム実況主の中では、かなり人気のYouTVerである。

PV以外の情報が無く、買おうか悩んでいる人

ゲームシステムを事前に知りたい人等にとっては

大変需要のある実況なのだ。

人気という事もあり、開始1分以内で同時接続者数が1万人を超えた。

ゲームの軽い説明が終わり、ゲームを起動した。


「名前か~。死にまつわる名前にしたら喰べられるって

 書いてあったので…」


ゲーム画面の名前入力欄に『無常の風』と

入力した実況主

これは、風が花を散らすように、無常が人の命を奪い去ること。

という意味である。


決定ボタンを押すと、本当によろしいですか?の

赤い文字が表示された。

実況主は、気にすることなく決定ボタンを再度押した。

その瞬間、配信画面が一秒ほど真っ暗になり

画面が映し出されたのだが…


実況主の姿は無かった。


「だから、確認したじゃないですか。ふふふ」


画面には誰も映っていないのに、謎の女の声が聞こえたのだ。

そして、配信は終了した。

生放送で実況主が消えた。

これは、SNSでまたたく間に拡散され数分で

トレンド入りをした。

だが、事件はこれで終わりではなく始まりだった。


これを見た、聞いた一部のYouTVerが便乗したのだ。

あれはやらせだ。

人が消えるなんてあり得るはずがない。

私/俺が証明すると。

だが、全員消えた。

全世界合わせて100人程だろうか。

『イーターきのこ』の名前設定で

死にまつわる名前にしたら喰べられる。

これは事実であった。

もう、疑うものは限りなく少数になったのだ。

0だと言い切れない理由は、疑う者は一人は必ず居るからである。


午後18:00


全国ニュースで報道された。

たった一人のYouTVerから始まった

『イーターきのこ』失踪事件

発売前から注目されていた事もあり、世界を巻き込む大事件になったからだ。

制作会社は、そんな事が起きるはずがないの一点張りだ。

だが、何もしないのは体裁が悪い。

販売停止、製品回収を発表した。

しかし、専用のゲーム機を買わないとプレイできない

『イーターきのこ』を手放そうとする人はどのぐらい居るのだろうか。

現時点では、名前設定だけ気を付ければ問題なくプレイ出来る。

気味悪がって手放す人も居るだろうが

ゲーマーという生物は、その程度では手放さないのではないだろうか。


これは、あくまでも行動を起こしたというパフォーマンスだ。

何故ならば、運営はこの事態を軽く見ているのだから、、、



5月9日(金)

午前7:00


全国ニュースにて

中学生~高校生の子供達が一夜にして

失踪したとの情報が流れていた。

共通点は『イーターきのこ』を直前にプレイしていた。


5月8日(木)の夜


全国の警察に捜索願が多数提出されていた。

「ゲームをしていた子供が突然消えた。

 テレビ画面にはGame Overの文字」

以上が報道内容だ。


新たな犠牲者のニュース。

事態は、悪化していく一方である。

ここまでの事態になると、誰が予想しただろう。


本日5月9日 13:00 


緊急記者会見をする事になった。

開発者の松露 喜寿亜(しょうろ きじゅあ)

レッドブラウンでボブヘアーの20代の女性が記者達の前に現れた。

彼女の雰囲気は、少し異質で空気がピりついた。

今回の騒動の原因や会社の隠された闇を暴き世の中に晒す。

それが、記者達の狙いではあるのだが…この女普通じゃない。

油断や隙を見せようものなら、逆に喰われてしまう。

そんな、恐ろしさを感じさせる。

そして、松露が口を開く。


「私が、開発したゲームで今回のような事態を招いてしまい申し訳ございません。

 ですが、ゲームで失踪なんてしませんよ?」


松露の顔に、薄ら笑いが見える。

この状況で、笑う事が出来る人間が居るのだろうか?

彼女以外に居ないのではないか。

すぐに、松露は続けて言葉を発した。

記者達に、喋る余地を与えないようにも見て取れる。


「本気で、ゲームが原因で失踪したと思ってるんですか?

 それは、フィクションの世界の話だけでしょ?

 ここは、現実ですよ?」


この緊急記者会見の様子は、全国放送で流れている。

にもかかわらず、松露には謝罪の姿勢が全く見ない。

今後の為にも、形だけでも謝罪をするべき場面なのだが

謝罪どころか、世の中を敵に回すような発言をしている。

前代未聞の記者会見である。

ここで、やっと記者の一人が発言した。


「私達を馬鹿にしてるんですか?現に人が失踪しているんですよ!

 これに関しては、どう説明をするつもりですか!」


松露は、全く動じなかった。

それどころか、冷ややかな視線を発言した記者に送った。

そんな視線を向けられて、黙っている筈もなく記者は発言をしようとした。

…のだが、結局発言はしなかった。

正確には、しなかったのではなく出来なかった。

自分の首を絞められているような感覚が記者を襲ったからだ。

あの視線には、それほどの力があった。

最初に感じた違和感。その片鱗が垣間見えた瞬間だった。

この場を、張り詰めた空気が襲う。

先程の記者と松露のやり取りを見て、記者達全員が戦意喪失をしている。

その後、数分間誰も発言しなかったので記者会見は終了した。

記者会見時間は、10分。

時間の短さ、記者が全く喋らない。

前代未聞の記者会見であると、SNSでトレンド入りした。

終了直前に、松露が言い放った言葉が話題となり

『イーターきのこ』のプレイヤーは急増するのであった。


その言葉とは…


「扉は既に開かれた。生き残りたければ『イーターきのこ』をプレイしろ」


予言の類か、只の妄言か。

SNSで、議論が繰り広げられていた。

妄言であると主張する割合の方が多い。

だが、あの言葉を聞いた人達に共通する部分が一つだけある。

《違和感》

普通に考えれば妄言である。

しかし、記者会見の異質な雰囲気。

前代未聞の記者会見。

そして、最後の意味深な言葉。

自分達とは、根本的な何かが違う。

そう、感じさせる《何か》が松露にはある。

これだけは、全員が共通して感じた《違和感》である。


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