喋るもどきと深まる疑惑
「あれが私の車なんだけど、、、」
アイラが指を差した方向には、車を囲むきのこが居た。
三体だ。
今回のきのこもどきは、、、
「あれは、キクバナイグチもどき・コガネキクバナイグチもどき
ヒビワレキクバナイグチもどきです!!」
ショウロが大きな声で言った。
そのせいで、もどき三種類がこちらの存在に気づいた。
流石、AI知識量は素晴らしい。
素晴らしいのだが、もう少し声のボリュームを抑えるべきだった。
もどきの見た目は、エリンギもどきとは大きく違っていた。
背丈は、小学生ぐらい。
人面では無く、カサのひび割れ部分が無数の目玉で出来ており
手には剣が握られていた。
「アイラ、下がっててくれ」
のこじは、初討伐で獲得した
剛柔剣を装備した。
と同時にもどきの一体が猛ダッシュで近づいてきた。
剣を振る のこじ。
しかし、ジャンプで躱されてしまう。
もどきは、のこじ とシャウロを無視して
アイラに近づく。
だが、後一歩という所でもどきは止まった。
もどきに、隙が生まれた。
のこじは、隙を見逃がさず真っ二つに両断した。
何故、止まったのか気になる所だが
もどきは、後二体残っている。
気を抜く暇はない。
仲間をやられ激高したもどきが叫んだ。
「こんのやろうーーーーーーーーーーーーー」
カサを開き叫んだ言葉がまさかの人語。
色々言いたい事があるが、視線は敵から外さない。
今度は、もどきが左右に分かれ迫ってきた。
狙いは、のこじ とショウロ。
ショウロは、何とかするだろうと考えた
のこじは、目の前の敵に集中する。
斬りかかるもどき。
剣で攻撃を受ける のこじ。
攻撃を受けた瞬間、剣が撓んだ。
剛柔剣の効果、攻撃を受ける時はやわく受け流すだ。
もどきが体勢を崩した。
体勢を崩した瞬間、剣を振り上げた のこじ。
先程まで、やわかったのに今度はかたくなり
股下から頭部にかけて真っ二つに両断した。
剛柔剣の効果、斬る時はかたくだ。
剛柔剣を使う戦闘は、初だが見事に使いこなした。
もどきは、残り一体。
ショウロの方を見る。
風を起こしもどきを上空まで打ち上げていた。
そして、火の玉を放ちフィニッシュだ。
魔法だ。
ショウロの事は、精霊と伝えているので
魔法を使っていた方が自然なのだが、、、
魔法を使えるのが羨ましいなと内心思う のこじ であった。
今回も、もどきの身体が光始めアイテムが現れた。
きのこの絵が描かれた謎のカード、黄金色の謎の塊
赤紫の防具。
「のこじさん!!凄いですね。かなり運良いですよ
そのカードは、激レアアイテムで
イラストに描かれたきのこを召喚出来ます」
ショウロが興奮気味に目を輝かせながら叫んでいる。
イラストに描かれているキノコは、ヒビワレキクバナイグチ。
人語を叫んでいたもどきだ。
倒したもどきが、ドロップアイテムで使役出来るという事だ。
激レアなのも頷ける。
「他のアイテムは、どんな物なんだ?」
アイテム説明を見るより
ショウロに聞く方が早いと判断した のこじ。
歩く取扱説明書が今のショウロだ。
「私の事を取扱説明書とでも思ってるんですか?
まぁ、良いですけど。
黄金色の塊は、お肉です。
詳しい事は、また。
赤紫の防具は、厚煙装甲
後は、身に着けた方が分かりやすいです」
もっと、詳しく教えてくれるかと思っていたが
必要最低限しか教えてくれなかった。
あまり、頼るなという事だろうか。
厚煙装甲は、名前からして厚い煙で覆われているのか?
何が起こるか分からない。
念の為、二人から少し離れた場所で装着する事にした。
装着しようとしたら、目の前に
確認画面が現れた。
『この防具を装着すると5mmの毒ガスが
自身を覆います。周りに人が居る場合は装着しないでください。
装着しますか?』
はい☚ いいえ
二人からは距離を取っているので問題は無い。
『はい』を選択した。
装着すると、全身を赤紫の防具が覆った。
顔は、鼻と口だけ覆われている状態で
顔は出ている。
身体は、防具に僅かな隙間があり
そこから毒ガスが出ている。
厚みもそれなりにある。
見た目的には、重くて動きづらそうだが
かなり軽い。
「のこじさん、着てみた感想はどうですか?」
ショウロが少し離れた場所から聞いてきた。
アイラは、シャウロの横に居り
興味深そうな表情で、のこじ を見ている。
「思ったより軽いな。
この毒ガスって止めれないのか?」
毒ガスが常に出ていると不便で仕方ない。
戦闘の度に着脱をしなければいけないという事になる。
「首の左側にあるスイッチでON、OFFの切り替えが可能です」
のこじは、ショウロに言われた通り
首の左側のスイッチを押した。
すると、先程まで自身の周りを覆っていた
毒ガスが消えた。
ON、OFFの切り替え可能で内心ホッとした のこじだった。
黄金色の肉はまた料理する時に
調べるとする。
それより、召喚カードを使ってみたかった。
「召喚カードはどうやって使うんだ?」
召喚カードの使い方をシャウロに問う。
一瞬、悪戯っぽい笑みをしたような気がする。
「召喚カードは、地面に思いっきり叩きつけてください」
のこじは、言われた通り思いっきり
地面に叩きつけた。
すると、カードからヒビワレキクバナイグチが出てきたのだが、、、
「いってーんだよ!もっと優しく召喚しろよ!!」
めっちゃ、怒っている。
のこじが、ショウロの方を見る。
「と、このように思いっきり叩きつけると
召喚された側は激怒します。
なので、召喚する際は優しく地面に投げてください」
ショウロに騙された のこじ。
ヒビワレキクバナイグチは、アイラの横に行った。
懐かれたようだ。
アイラの護衛としては、良いかもしれない。
「召喚きのこは、どうやって戻すんだ?」
今は敵も居ないので戻したい様子。
ヒビワレが、のこじ ではなく
アイラを選んだ事も関係してそうではある。
「戻し方ですか?
死ぬまで戻りませんよ?」
まさかの、倒れるまで戻らない。
召喚した事を後悔した。
気軽に召還して、気軽に戻せると思っていたからだ。
説明は、先に読むのが大事だ。
仕方ないのでこのまま連れて行く事にした。
予想外のもどきとの戦闘で
かなりの時間を消費してしまった。
現在時刻は9:45
一匹増えたが[ニセクロ王国]に向かう事にした。
運転はアイラが担当だ。
のこじは、この世界に詳しくはなく
ショウロは、運転が出来ないらしい。
[カシキ村]から[ニセクロ王国]までは
順調に行けば車で二日で行けるそうだ。
だが、運転がアイラだけなので
小休憩を考えると3~4日は、覚悟した方が良いとの事。
この機会に、アイラには色々聞いておこうと考えた のこじ。
しかし、何から聞くべきなのか。
のこじが、考えている間に先にショウロが質問をした。
「アイラさん。私が見えるようになった眼鏡はどういう物なんですか?」
忘れかけていたが、眼鏡をかけた事で
ショウロが見えるようになったのだ。
只の研究者に作れるものなのか。
それは、是非聞きたい所だ。
アイラはまだ、謎が多すぎる。
「あぁ、やっぱり気になるよね~
これ、赤外線眼鏡だよ。
だから、本来見えないものが見えるようになるってわけ!
研究者だけど発明は趣味でしててさ。
その趣味の延長で、作った眼鏡なんだな~」
赤外線カメラの眼鏡版という事だった。
ん?待てよ。もどきがシャウロを視認できた理由は?
小声でショウロに聞いてみる のこじ。
(ショウロ、もどきが視認できた理由は何故なんだ?)
ショウロが、のこじ の肩に手を置き
耳元で答えを教えてくれた。
(それは、人じゃないからですよ。
人には見えないものでも他の生物は視認できるのです)
なるほど。
猫には幽霊が見えているみたいなものか。
それに、ここはゲームの中なので
それ以上深く考える事を辞めた。
「俺からも質問がある。
アイラを襲おうとしたもどきが
止まったのは何故なんだ?」
ずっと気になっていた。
のこじやシャウロに対しては
容赦なく襲い掛かってきたもどきが
アイラの前では止まったからだ。
特別な何かがあるのか。
やはり、きのこが擬態しているのか?
「それは、この方が、、、」
ヒビワレが何かを言おうとしたが、、、
「ん~何でだろうね。それは私にも分かんないわ。
逆に?私が聞きたいぐらいだし」
アイラに遮られた。
だが、「この方」と気になるフレーズを
のこじは、聞き逃さなかった。
だが、今すぐ何かをしそうな気配もないので
警戒だけをする事にした。
これ以上、追及すると
何となく危険な予感がしたからだ。
その後、車内は静まり返った。
今回は、食用キノコ
キクバナイグチ・ヒビワレキクバナイグチ・コガネキクバナイグチの
三種類の紹介です。
まず、特徴的なカサのひび割れと鱗片が細かいタイプと粗いタイプで分けられており
この三種はキクバナイグチと呼ばれていました。
詳細な観察とDNA鑑定の結果で全くの別物だと判明し三種に分けられました。
利用法は三種とも、煮物や汁物に利用されるそうです。
キクバナイグチは粗いタイプ。
柄は全体的にローズレッドです。
肉は白色で傷つくと淡青色に変色します。
ヒビワレキクバナイグチも粗いタイプ。
柄の上半分が薄いクリーム色で下半分がワインレッド。
肉は白色で傷つくと淡青色。
最後は、コガネキクバナイグチ。
細かいタイプ。
柄は全体的にワインレッド~赤紫色。
肉は鮮やかな黄色で傷つくと淡青色。




