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【イーターきのこ】  作者: 椿 桜
β版

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15/19

敵か味方か

現在時刻は7:15


のこじ は目覚めた。

横には、シャウロが居ない。

アイラはまだ寝ている。

のこじ はトイレに向かった。

トイレに入ろうとしたら後ろから引っ張られた。


引っ張った相手は、当然ショウロ。


この部屋は、入り口近くの右側に扉があり

右側トイレ、真ん中洗面台、左側に風呂場である。


のこじ は風呂場側に引っ張られたのだ。

突然引っ張られた衝撃で放尿しそうだった。

が何とか耐えた。

年齢的にお漏らしは恥ずかしい!

その羞恥心のおかげで耐える事が出来た。


「おい、ショウロ部屋に居ないと思ったら

 突然なんだよ。俺は、トイレに行きたいんだが」


アイラが、寝ているので小声でショウロに話しかけた。

こうしている間にも、どんどん迫りあがってきている。

少しでも気を抜くと出そうだ。

崖っぷちである。


「あ、すみません。後でお話が」


のこじ が必死に我慢して体が震えている事に

気づいたのかショウロは手を離した。

のこじ はトイレに駆け込んだ。

もう少し遅ければ取り返しのつかない事になっていた。


スッキリした表情で のこじ はトイレから出てきた。

そして、キリッと表情を変え聞いた。


「で、話ってなんだ?」


いつになく真剣な表情だ。

その場の空気がピりついている。

ショウロが話そうとした瞬間

扉が開いた。

アイラが来た。


「二人共、ここに居たんだ~。二人で密談でもしてた?」


扉を開けた時は、一瞬驚いていたが

「はは~ん」と何かを察したような表情で

ニヤニヤしながら聞いてきた。


さっきまでのピりついていた空気が

嘘のように空気が変わった。


「たまたま のこじさんと鉢合わせただけですよ」


ショウロが機転を利かせて誤魔化した。

のこじ も肯定するように頷いた。


「私、先に出ますね」


ショウロは、部屋を出る直前

耳元で「お話はまた今度で」

と囁き出ていった。


洗面室に取り残された二人。

ショウロが居ないこの状況は

色々聞くには好都合だ。

だが、そうはしなかった。


この世界に来て、初めて遭遇した人間。

聞きたい事は山ほどある。

しかし、アイラが本当に味方なのか

その不安が、のこじにはあった。


何故なら、ショウロの話だとこの世界はゲームの世界だ。

なら、何が起きてもおかしくはない。


例えば、きのこが人間に擬態している可能性。

擬態出来るのか分からないが

可能性がある以上警戒すべきだ。

情報が少なすぎる。

少なすぎるのだがリスクを払ってまで

手に入れる覚悟は無かった。


まだ、アイラよりショウロの方が信頼できる。

何故なら、シャウロは言った。

《イーターきのこ》を広めてほしいと。

その為には、のこじを無事に返す必要があるからだ。

それが、嘘の可能性もあるのだが

ショウロは、わざわざAIである正体を隠し

のこじ の前に姿を現した。


そういう理由から、アイラをまだ信用する事が出来ない。


「俺も先に戻ってるよ」


そう言い、のこじは洗面室を出ていった。


部屋には、ショウロと のこじ の二人だけ。

今なら先程しようとしていた話を聞ける筈。

そう思った のこじは


「ショウロ話って」


聞こうとしたの

だが、、、

洗面所の方から悲鳴が聞こえた。


「きゃあああああああ」


アイラの声だ。

何かあったのだろうか。

ショウロと のこじは顔を見合わせ

すぐに向かった。


「のこじさんは入り口を。私が中を確認します」


洗面所の隣には、風呂場もある為

万が一アイラが朝シャワーを浴びていたりしたら

大変な事になるからだ。

二発目の悲鳴になりかねない。

その事を、のこじ が理解してかは不明だが

ショウロの言葉に頷いた。


ショウロが洗面所の扉を開ける。

そこには、真っ青な表情のアイラが居た。


「どうしたんですか?」


その言葉を聞き、アイラは恐る恐る指を差した。

その先には、、、


バッタ。


・・・・・


バッタ?

そう、あの自分の体長の20倍もの距離を

ジャンプ出来る緑色の昆虫だ。


ショウロは、予想外すぎて

ポカーンと立ち尽くしてしまった。


「ねぇ!あの緑のあいつ早く何処かにやってよ

 私は、虫が苦手なの!!」


アイラの悲鳴に近い大ボリュームの声で

ショウロの止まっていた脳が動き

目にも止まらぬ速さで、バッタを掴んだ。

そして、その勢いのまま

洗面所から飛び出し、部屋の窓から

バッタを逃がした。


もの凄い勢いで、ショウロが出てきたので

のこじを突風が襲った。

流石、AI。動きが人間業じゃない。


何が起きたのか状況を把握出来ていない

のこじは、突風を浴びながら思ったのだ。


(ショウロはAIだし突風ぐらい起こせるよな。AIだし)


いや、AIだから突風を起こせるわけでもないとは思うが、、、

神又は観測者である私の心の声は、のこじには届かない。


そして、洗面所の方から生気を抜かれ

死んだ魚のような目をしたアイラが

フラフラで出てきた。


すぐに、のこじは体を支え

そのままベッドに運んだ。


アイラが正気を取り戻すまでかかった時間は

約5分。


その間に、ショウロは何があったのか

のこじに話していた。


「お腹減ったーーーーー」


アイラが、正気に戻った第一声だ。

朝から騒がしい女性だ。

二人共、驚くを通り越し呆れていた。

昨日の夜あったばかりだが

何となくどんな人かは察してきた様子。


「でも、私料理出来ないんだよね~

 食材ならあるんだけどさ

 どっちか料理出来る?」


料理出来ない発言で更に呆れる二人。

どうやってここまで来たのだろう。

研究者ならきっとこんな何もない町を活動拠点にはしない筈。

そう言えば、アイラの事を何も知らない。

騒がしく世話のかかる女性という事以外は。


「料理なら、のこじさんが出来ます」


のこじが考えている間に

ショウロがサラッと答えていた。

その言葉を聞いた、アイラの顔が

パァァッと明るくなった。

嬉しそうにカバンの中から食材を出していく。


どれも、見た事がない食材ばかりだ。


食べれるかも怪しい色をしたきのこ。

見るからに毒キノコだが?

意外と美味なのか?


全身から針が突き出ている魚。

イメージとして、鮭のような魚の全身に

ハリネズミの針が付いている。


脈打っている肉塊。

食材、、、なのか?


食欲をそそられる見た目の木の実。

これは、他の食材に比べまともだ。

それだけで、救われた気分になった。


これで、全部のようだが

スキル[三流料理人]で使える食材なのか?

のこじは、ショウロの方をチラッと見る。


「結論から述べると、のこじさんには

 扱えない食材ばかりです。

 よくもまあ、こんな奇天烈食材だけを集めたものですね。

 その行動に対し拍手を送ります」


ショウロは、無表情で拍手をした。

その拍手が賞賛の意ではない事は先程の言葉から分かる。

アイラは、今にも泣きそうな顔をしている。

きっと頑張って集めたんだろう。

その気持ちには、同情するのこじであった。


「この町に、飲食店があるから

 そこの食材を使おうか。

 食材豊富だし簡単な料理なら作れるから」


場の空気が重すぎるのと

自身もお腹が減ってきた

のこじは、別の案を提案した。


その言葉を、聞いたアイラは

神に救われたような表情で

何度も何度も「ありがとう」と言った。


三人は、荷物をまとめ飲食店に向かった。


現在時刻は8:00


飲食店に到着した。

のこじは、この場に来るのは三度目。

ショウロは、モニターを見ていたので

来るのは初だが知ってはいた。

何故、店がこんなにボロボロな状態なのか。


だが、アイラは初だ。

窓は割れており、中から見える店内は荒れている。

戦闘があったまでは分からないだろうが

ここで何かがあった事は分かる。


「ここで、何があったの?」


アイラは、のこじに問う。

のこじは、当事者だ。

何があったかは知っている。

だが、嘘をついた。


「俺も分からないんだ。

 俺が来た時には既にこうなってた」


ショウロも知っているが何も言わない。

アイラは信用出来ない。

だから、ここでの出来事は隠す事にした。

二人でそう決めたわけではないが

のこじが、話さないなら何か理由がある。

そう考えたショウロは言わなかった。


そして、三人は店内に入った。


「二人は、席で待っててくれ

 俺は、厨房で料理してくる」


のこじは、そう言うと厨房に向かった。

さて、今回は何を作ろう。

[三流料理人]で手に入れた

レシピを使いたいが、、、

ここにあるのは、現実でもある食材ばかりだ。

使えるレシピはあるのか?


スキル画面を開く。

次にレシピ項目を開く。

ショウロに、教えてもらった訳ではないが

レシピの場所は、何故か知っていた。

ゲームの世界だからだろうか。

そんな事は、正直どうでもよい。


やはり、知らない食材が必要なレシピばかりだ。

使えるレシピは無いのか?

そう思って諦めていたが

一つだけあった。


〈豚肉とエリンギの卵包み〉


卵包みと聞いたらオムライスの形を想像するだろう。

しかし、この卵包みは球体だ。

これなら、食材もある。

作りたいのだが一つ問題があった。

エリンギである。

のこじは、エリンギが嫌いなわけではない。


昨日の戦闘でエリンギと戦闘をしたので

食べるのには躊躇いがあった。

あったのだが、そんな事を言うと

この世界から帰る頃には

きのこを全く食べれなくなっているかもしれない。


そう思った のこじは

食べ物は食べ物。

敵は敵。

今この瞬間、割り切る事にした。


朝から豚肉は少々重い気もしたが

今後の為にも、しっかり食べておきたい。

三人分+移動時のお弁当分も作る事にした。

お弁当と言ってもタッパに入れるだけだ。


調理過程は、そこまで難しいものではない。

簡単に言うと、豚肉でエリンギを巻き

その豚肉を卵で包む。

調理する事15分。

料理速度の上昇は、切る速度・加熱時間等

調理過程の全てにも影響する。


「二人ともお待たせ」


のこじは、二人分を先に料理に運んだ。

三皿持ちは試そうとしたが危なかったのでやめた。

二人は、何かを話していたようだが

のこじが来た事で会話を止めた。


のこじも自身の分を持ってきて

三人で食べ始めた。


かなり美味しく

アイラは、特に夢中で食べていた。


全員が食べ終わり、今後の話し合いになり

のこじが、マップを開いた。

距離はあるが[ニセクロ王国]を目指したい。

全ての始まりの地だからだ。

それを伝えると、偶然にも

アイラは[ニセクロ王国]に向かう予定だったらしく

三人で向かう事にした。


移動は、車だ。

ここ[カキシ村]には車で来ていたらしく

町の外に止めてあるらしい。


行動方針も決まったので

三人は[ニセクロ王国]に向かう事にした。


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