意地悪な二人
「は?え!?何でここに居るんだ!?」
のこじ は隣にAIが居る事に驚いて叫んでしまった。
「旅人のお兄さん、どうしたの?何もない空間見て叫んで
緊張しすぎて頭おかしくなった??」
どうやら、アイラにはAIの姿が見えていないようだ。
だが、そんな声は のこじ には届かず
頭を抱えて部屋を回り始めた。
異様な光景である。
「んー、ほんとにそこに何か居るなら、、、」
とアイラは眼鏡を取り出し付けた。
見た目は、よくある極普通の眼鏡だ。
アイラは、研究者と言っていた。
発明家ではない。
なら、ただの眼鏡なのか?
のこじ は、目が回ったのか床に倒れている。
そして、その頬をAIが突いている。
「これで、よしっと。あれ?お兄さん倒れてるじゃん
ウケるんだけど大丈夫?んで、横に居る貴方は、何者?
幽霊とか??」
何と、アイラは眼鏡を付けた事でAIの姿が
見えるようになった。
ただの眼鏡ではないのか?
研究者に見えざるものを見る眼鏡なんて作れるのか?
アイラは一体何者なのか、、、
「へぇー、私が見えるんですね。のこじ さん以外には見えないはずですが
その眼鏡が原因ですか。実に興味深いですねぇ。
聞きたい事は山ほどありますがその前に」
AIは、のこじ の頬を思いっきりビンタした。
\\パァァン//
現在時刻は23:00
ビンタの良い音が部屋中に響き渡った。
あまりの痛さに、のこじ は飛び起きた。
飛びすぎて天井に頭を打った。
「いってええええええ!!ってA、、、むぐぐ」
のこじ がAIと呼ぼうとした瞬間
AIが口を塞いできた。
⦅この世界で、私の事をAIと呼ばないでください。
のこじさんの精霊という事にしてください⦆
とAIが小声で言ってきた。
何故、AIと呼んではダメなのか聞きたいが
アイラがじーっとこちらを見ている。
聞きたい気持ちを抑えながらコクコクと頷く事にした。
「すみません、お待たせしました。
私は、のこじさんの精霊です。
名前は、ショウロ」
AI改めショウロは、アイラに軽く自己紹介をした。
これからは、ショウロと呼ぶ事にする。
だが、忘れてはいけないのは彼女はAIであるという事。
何故、こんなにも人間味溢れているのか。
その疑問は、のこじ も持っていた。
が、今は聞くべきタイミングではないので
聞かない事にした。
ショウロが、どうして姿を現したのか。
彼女がまだ重要な何かを隠しているのではないか。
そんな疑問も、のこじ の胸に収めるのであった。
「アイラ、色々と聞きたい事はあるんだが
今日はもう休む事にするよ。
明日の朝、またこの部屋に来ていいか?」
のこじ は、相変わらず視線に困りながら
アイラに尋ねた。
「良いけどさ、この部屋で寝たら―?
ベッド二つあるし― 襲わないなら良いよ?」
ニヤニヤしながらアイラは
のこじ に言った。
⦅いつまたきのこが襲ってくるか分かりませんし
ここは、同室の方が安全かと⦆
ショウロのいう事はもっともだ。
だが、女性と同室で寝るのは、、、という気持ちもある。
何かをする気は全くないが
もしもの事があってはいけないと
非常に悩む のこじ であった。
のこじ は ある事に気づいた。
この部屋には、三人居る。
だが、ベッドは二つ。
ベッドが一つ足りないのである。
「ちょっと待ってくれ。この部屋には三人居るが
ベッドは二つだろ?俺は、隣の部屋で寝る事にする。
ショウロが、この部屋で寝たら解決だな」
これなら、名案だという表情で言い切った のこじ。
しかし、そんなうまくいく筈はなかった。
それを聞いたショウロはニヤニヤしながらこう言った。
「え~私は のこじさんの精霊ですよ?
そんなに離れれるわけないじゃないですか。
当然、私は のこじさんと同じベッドで寝ますよ☆」
ショウロは、精霊ではない。
なので距離が離れていても大丈夫ではあるのだが
アイラには、精霊だと説明している。
それに、アイラも確かにという感じで頷いている。
もうこれ以上は、無理だと覚悟を決めた のこじ。
正直、のこじ自身もまだこの世界に来たばかりで
何が起こってもおかしくはない。
そんな状況で、一人で寝る事には些か不安はあった。
きのことの激闘を勝ち抜いた時点で、気持ちとしては一杯一杯だった。
アイラと出会った事で、気持ちに少し余裕が出来たのも事実。
「分かった。俺もこの部屋で寝させてもらうよ。
何もしないから安心してくれ。」
現在時刻は23:30
三人は眠りに就くのであった。
今回登場したショウロは食用きのこの名前です。
江戸時代から愛され、今は幻となった松の露と言われております。
断面が白い幼菌の時は食用になり
成熟から老熟すると都市ガス臭様の臭気を放ち食用には向かないのだとか。
吸い物や炊き込みご飯などに最適で現在は高級食材として珍重されているそうです。




