死の恐怖
防具屋の扉を開ける。
中から血生臭い匂いが漂ってきた。
あまりの匂いに扉を閉める。
深呼吸をする。
もう一度、扉を開ける。
中は、壁や床に血が飛び散っていた。
この場所で、戦闘があったのだろうか。
むごい光景だ。
この場に、死体が無かったのが唯一の救いといえよう。
もしも、死体を目にしてしまったのなら
「死」という恐怖に襲われ、この場から動けなかったかもしれない。
防具は諦め、扉をそっと閉めた。
「この町は、、、もう」
とそこで、のこじ は言葉を詰まらせた。
ここは、ゲームの世界。
だが、あまりにも、リアルな光景が頭から離れない。
現実なのではないかと、思ってしまう。
ふと、考える。
この身体は、本物なのではないかと。
ゲーム開始時に感じた。
ほんとに、きのこの世界に自分が居る感覚。
AIは、この身体が本物かどうかは一切言っていない。
のこじ がゲーム内のアバターだと思い込んでいただけだ。
だが、仮に本当に死んでしまった場合
この世界の事を、広める事は出来ない。
いや、代わりが居るのかもしれない。
条件に当てはまる人間は、探せばまだまだいるだろう。
自分も、この町の人のようになるかもしれない。
のこじには、二人の弟が居る。
20歳と18歳の弟だ。
「俺が死んだら、あいつら悲しむよな」
二人共、のこじ を慕っていた。
憧れの存在だ。
「こんなところで、死ねないな」
両手で顔を挟むように叩き、気合を入れる。
飲食店に戻る事にした。
厳選した道具と食材を取りに戻るためだ。
飲食店に着いた。
割れた窓ガラスを見る。
ここで、戦闘をし生き残った事を
改めて実感する。
あの時は、必死で気づかなかったが
よく生き残れたと思う。
道具と食材をカバンに入れる。
この世界に来てから、色々あった出来事を振り返る。
全然休んでいなかった事に気づく。
この町には、宿もある。
宿で今日は、ゆっくり休む事に決め
宿に向かうのであった。




