少女との出会い
「…ほんとに異世界に繋がってた、なんてありかよ…」
そう言って驚愕の声を上げることしか出来ない。でも、間違いなく目に映っている非現実な光景は現実で。空を飛んでいるドラゴンも、地で跳ねているスライムも、そしてゴブリンに襲われている少女も、全て現実…ゴブリンに襲われている!?
「…まず助けるのが最優先か」
そう言って駆け出す。直後に足がもつれた少女が転んでしまった。追いついたゴブリン達が少女に歩みを進める。その間に割って入ってはちらり、と少女を見てから
「怪我は無い?」
と優しく問いかける。少女が頷いたのを確認しては安心した。すぐにゴブリン達へと目を向けると、部外者である自分を見て困惑しつつも、攻めどきを伺っているようにも見えた。その隙を見て僕は少女を抱きかかえて逃走。呪力を脚へと込め、ゴブリン達が追いつけない速度で草原を駆ける。先に見えた大きな都市へ入ったところで止まる。抱きかかえていた少女を降ろしては再度
「怪我は無い…?」
と問いかけた。少女は
「はい…ありません、あの、助けて頂きありがとうございます」
と言うとぺこり、と頭を下げた。続けて
「私の名前はリリィ・ワラフといいます、このワラフ王国の女王、カサブランカ・ワラフの娘です」
と言った。…国?の女王?の娘…!?もしかして自分はとんでもない無礼をしたのではないか。抱きかかえ、さらに敬意もないタメ口…今すぐ断頭台へと乗せられても何も文句は言えないだろう。僕はすぐさま
「も、申し訳ありません、立場を知らず無礼な態度を…!」
と言うと困った顔を浮かべた。もしかして断頭台確定?
「いえ、気になさらないで下さい…むしろ貴方は命の恩人です」
と言うとにこり、と微笑んでから一際大きな城の方へと振り返る。その後、こちらをちらり、と見ては
「ついてきてください、城へと案内します」