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フローネの想い

フローネは訓練で汗をかいたため、シャワーを浴びることにした。

フローネは疲れていた。

フローネの体に熱いシャワーが降りかかる。

フローネは自分の心と向かい合う。

フローネは愛を抱いていた。

その相手は教官である天馬だ。

フローネは天馬のことを意識していた。

いつから彼を好きになったのであろうか?

それは彼が命懸けで自分を守ってくれた時からだ。

あの時から自分は天馬を愛してしまったのだ。

「天馬……さん……」

フローネが愛する人の名を口にする。

それだけで自分のほおが熱くなり、胸も心もときめく。

今日は天馬といっしょの時間を過ごすことができた。

それだけでもフローネは幸せだった。

こんな感情は生まれて初めてだ。

フローネはこれまで特定の誰かを好きになることはなかった。

恋愛とは無縁だったのだ。

フローネのスタイルのいい体をシャワーが濡らし、そのしずくが垂れていく。

フローネは服の下からでもわかるほどスタイルが良かった。

そのプロポーションが美しい。

フローネはずっと天馬のことを考えていた。

最近は学校でも天馬のことを考えている。

そのため、授業に集中していなかった。

フローネは自分の胸に手を当てる。

自分の胸は心臓のようにとくんとくんと脈打っている。

これは自分の天馬への想いだ。

フローネは自分でも戸惑わずにいられなかった。

これが『愛』なのだとフローネは思い知る。

「天馬さん……好き……愛してる……」

フローネははっきりと自分の想いを口に出す。

フローネにあるのは戸惑い……。

だが、それ以上に期待と不安があった。

自分は天馬を愛している。

初めて会った時は違った。

初めは違ったのだ。

初めは明らかに反発していた。

軍人の象徴のように思えたからだ。

今は違う。

今ははっきりと彼を愛していると自覚できる。

自分は天馬とどんな関係を望んでいるのだろう? 

いったい何を期待しているのだろう?

優しくされることだろうか?

それとも守られることだろうか?

それは今のフローネにはわからないことだった。


月州は日本から分離、独立した国である。

月州はシベリウス教徒が多数派になった地域が日本から分離、独立することで成立した。

その際、独立戦争があり、日本と戦争を行っている。

独立記念日と独立記念祭が毎年開かれ、そのあいだは祝日となる。

月州はそのアイデンティティーにシベリウス教を据えた。

月州自体は世俗国家であるが。

月州は連邦共和制を取っている。

月州の公用語は月州語である。

月州の政治体制は大統領制で、一任期五年の大統領が二期まで務めることができる。

国のリーダーシップは大統領が行う。 


フローネは自室にいた。

フローネは二枚のチケットを見て、凝視していた。

「うーん……どうしよう……」

チケットは学園祭用の物だ。

チケットを持っている人は無料でサービスを一つ受けることができる。

フローネは意中の天馬にチケットを渡したいと思っていた。

しかし、いざ渡そうとすると、躊躇して渡すことができないのであった。

フローネは笑っていた。

フローネはチケットを天馬に渡したいという想いと、恥ずかしいという想いがあった。

天馬のことだから断ることはないと思うが、恥ずかしくて決心できないのだ。

「よし! 行こう!」

フローネはようやく決意した。

フローネはスマホを取り出すと、天馬に電話をかけた。

「教官?」

「どうした、フローネ?」

天馬の声が心配している。

自分は心配をかけることをしているだろうか。

少しフローネはうれしかった。

「あ、あの……」

「どうかしたのか?」

「あの、渡したいものがあるので、自販機のところまで来てもらっていいですか?」

フローネの声が高ずる。

「渡したいもの?」

「それは後で見せますから!」

「あ、ああ。わかった。すぐ行く」

天馬の声からは戸惑いが感じられた。

フローネはスマホの電話を切った。

「ふ、ふう……」

後はチケットを渡すだけだ。

フローネはチケットを手に持つと、自販機のところまで急いだ。


フローネは自販機のところまで歩いた。

天馬はすでにいた。

彼はベンチに座っていた。

服はジャージだった。

「フローネか? いったい何の用事なんだ? 渡したいものって?」

「え、ええと、その」

フローネはほおを赤くした。

フローネは真っ赤だった。

フローネは言いたいことがあったのだが、いざ天馬に言おうとなると言葉が出てこない。

「フローネ?」

天馬が不審がる。

「あ、あの、教官! これを受け取ってください!」

フローネはそう言って勢いよくチケットを出す。

「? これは?」

「これは星見学園の学園祭のチケットです! 私たちのクラスはコスプレ喫茶をやるので、ぜひ来てください!」

フローネは一気に言いたいことを言いきった。

フローネはすごくドキドキしていた。

胸が、心臓が破裂しそうだ。

「あ、ああ。休みを取って行くことにしよう。二枚あるのか?」

「そ、それは誰かほかの人を誘ってきてください! そのチケットがあれば、無料で一つサービスが受けられます!」

「いいのか? 俺がこんなものをもらって? 家族に渡さなくてもいいのか?」

「私は、ぜひ教官に来てもらいたいんです!」

「そ、そうか……」

フローネの勢いが天馬を圧倒した。

天馬はほおをかいだ。

これは天馬が照れているときのしぐさだった。

「わかった。フローネがいるんだ、絶対に行くよ」

「ありがとうございます!」

「それじゃあ、おやすみ」

「はい、おやすみなさい」

フローネは天馬と別れて自室に戻った。

部屋の扉をゆっくりとしめる。

フローネの顔がにこやかに変わる。

「きゃああああああ!」

フローネはベッドにダイブする。

そしてそのまま枕を抱きしめる。

「私、誘っちゃった! 教官を誘っちゃった!」

そんなフローネは幸せそうだった。

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