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チームプレー

戦闘後、各人はシャワーを浴びた。

天馬はシャワーを浴びて思考をリフレッシュする。

基地の寮の部屋にはフロはついておらず、フロを利用したい人は公共の浴場を利用するしかない。

月州人は古代ローマ人のようにフロの習慣を持つ 。

もちろん、移民の中にはフロの習慣を持たない者もいる。

月州人と言ってもその存在は多様で一概には言えない。

天馬はずっとシャワーを浴びながら考え事をしていた。

問題はわかっている。

チームプレーだ。

敵が戦い方を変えてきた。

今までの魔獣はただ数で押すだけで、そこには秩序というものはなかった。

脅威だったのは魔獣の戦闘力と、狂暴性だった。

これまで魔獣が群れで行動したという報告はない。

だが、今回は違った。

魔獣は群れで行動してきた。

つまり、一対複数の戦いをしてきたということだ。

この戦い方をされると、個人戦に特化していたシスターズではきつい。

このままでは最悪こちらに死者が出ることになりかねない。

どうしたものか……。

集団戦対集団戦を行う必要がある。

天馬の問題意識ははっきりとしていた。

姉妹シュヴェスターンにチームプレーを叩き込む。

それだ。

天馬はシャワーから上がった。


天馬は着替えると、基地の廊下を歩ていた。

ずっと天馬はチームプレーのことを考えていた。

どうしたものか。

どこで、どうやってチームプレーをシスターズに教えるか。

悩みどころである。

一度集まって話し合うのもいいかもしれない。

とそこで向こうからやってくるサーシャと天馬は会った。

「あら、天馬君。ごきげんよう」

サーシャは笑顔で天馬に接してきた。

「ああ、サーシャか……」

力なく天馬はつぶやいた。

「? どうしたの、お疲れ?」

サーシャが天馬をのぞきこんでくる。

「ああ、、まあ、な……」

天馬は苦笑した。

「ふーん、何か悩んでいるようね。そんな時は、お姉さんに任せなさい!」

お姉さん? 天馬とサーシャは同期ではない。

だが、それほど年が離れているわけでもない。

女性の年齢は尋ねないようにしているので、天馬は知らなくても困らないのだが……。

そんなサーシャが胸を張る。

サーシャがそうすると、大きな彼女の双丘が揺れた。

天馬は片手で顔を覆った。

「ああ、それなんだが……」


天馬は医務室で今部隊が抱えている問題を話し始めた。

この医務室は彼女の常勤の場所で、通称サーシャの城。

天馬はベッドに座り、サーシャはイスに座った。

サーシャは白衣をつけていた。

「ふーん、そう……チームプレーね……」

サーシャが問題をかみ砕くようにうなずく。

「ああ、そうだ。敵が戦い方を変えてきた。今までは個人プレーでもよかった。目の前の敵を倒せばそれでよかったからだ。それが敵は集団で攻撃を仕掛けてくるようになったんだ。それに俺たちの部隊はまだそれにうまく対処できていない。このままでは戦死者を出しかねない。何かいい解決策はないものか……」

天馬は真剣に悩んでいた。

それから大きくため息を出す。

天馬は責任感が強い。

そのため、今回のできごとでも自分を責めているのだ。

サーシャにはそれがよくわかった。

「天馬君! そういったことなら、いい解決策があるわ!」

「サーシャ?」

サーシャは花が咲いたような笑顔になる。

何かいいアイディアが浮かんだのだろうか?

「解決策はずばり! スポーツよ!」

「スポーツ?」

天馬がポカンとする。

「スポーツでみんなの動きをよくするの。もちろん、集団で対戦するものがいいわ。これは集団戦を学ぶためのトレーニングなの! うまくいくこと受け売りよ!」

サーシャはウインクをして話を決めた。

天馬は真剣にこのアイディアを検討しみた。


天馬はユーリアのもとを訪れた。

そこで。

「休暇?」

「はい。六人で一斉に取ろうと思いまして」

天馬が休暇の話を出す。

「ふうん……まあ、いいけど。うちは少数精鋭だから……けど、どうして? そもそも全員で?」

ユーリアが疑問をぶつける。

天馬はその疑問に答えた。

「前回の戦いで我々の問題が浮かび上がりました。我々にはチームプレーという課題があります。チームとして一丸となって行動できるようになるためにはスポーツをするのがいいと思いまして。そこで一週間の休暇を利用してハプワのサン・マリーノに行こうと思っています。まあ、多少遊びも含んでいますが……」

これは一週間の外国旅行ということであった。

「ふーん、なるほど、そういうことね」

ユーリアは納得したようであった。

ユーリアはほほえんで。

「そういうことなら、リフレッシュもかねて、サン・マリーノまで行ってきなさい。仕事のことだけを考えるんじゃなくて、しっかりリフレッシュしてくるのよ? せっかくサン・マリーノに行くのだから、観光も含めて楽しんできなさい」

ユーリア大佐は満面の笑みで六人を送り出してくれた。


天馬は五人のシスターズを集めて休暇について説明していた。

「「「「「サン・マリーノ!?」」」」」

全員が天馬の言っていることに驚いていた。

無理もない。

海外旅行をすると言っているのだから。

ちなみに旅費は天馬が全額負担する。

「そうだ。俺たちは全員でサン・マリーノに行く。もちろん飛行機でだ。サン・マリーノは海辺の島国だから水着も持っていくように」

「でも、隊長。どうして急にサン・マリーノに行くことにしたんですか?」

フローネの質問はもっともだ。

当然誰もが思うことだろう。

「ああ。この前の戦いで俺たちはチームプレーという課題を突き付けられた。そこでサン・マリーノではビーチバレーを行い、相互に助け合うことの重要性を学ぶ。とまあ、それもあるがせっかく休暇を取ってサン・マリーノに行くのだから、観光やレジャーを楽しんでかまわない。期間は一週間を予定している。いい体を作るよう、よくリフレッシュしてくれ。それと旅費と宿泊費は全額俺が負担する。遊ぶ金はみんなが支払ってくれよ?」

「「「「「はい!」」」」」


シスターズの五人は水着を買いにショッピングモール『ジュスコ』を訪れていた。

五人はこうしていっしょに行動するのは初めてだ。

ジュスコは映画館をも併せ持つ複合施設で、土曜日には多くの買い物客でにぎわっている。

恋人たちのデートや友人たちの遊びにも利用される。

五人は服と水着を買いにジュスコを訪れていたのだ。

この五人はそれぞれ個性的で特徴があった。

「フローネさんは隊長のために水着を買ったんですの?」

ツェツィーリアがやっかみながらフローネに尋ねてくる。

フローネが視線をさまよわせた。

「えっと、現地に着いてからのお楽しみということで……」

フローネがはぐらかす。

しかし、その狼狽ぶりは誰の目にも明らかだった。

「フローネは隊長が好きなのか?」

「ええ!?」

ハルカが直球でフローネに聞いてくる。

あまりに直球だったのでフローネは動揺した。

「それは……そのう……」

フローネがあさっての方向に視線をめぐらす。

答えは聞くまでもないほどバレバレだった。

「ふふふ……いくら何でもいまさらだと思うよ?」

ソフィーヤがからかってくる。

フローネとしては隠したいところであるが、もはや隠しきることは不可能だった。

フローネは自分が天馬を愛していることを自覚している。

しかし、正面切ってそれを認めるのはまだ恥ずかしい。

「そうですよお。フローネさんの熱いまなざしに気づいてないのは鈍感な天馬隊長くらいですよお」

アンジェリーナが追い打ちをかける。

フローネはコイバナのいいおもちゃだ。

シスターズの面々も恋愛には興味津々だ。

それがメンバーのということならなおさら。

「そうだな。天馬隊長は仕事はできるが女心には鈍そうだ。フローネ、積極的にアプローチしていかないとほかの人に隊長を取られてしまうぞ?」

ハルカがフローネに指摘する。

「え? ほかの人って?」

フローネは危機感を持ってはいなさそうだ。

フローネはきょとんとする。

「そうですわね。たとえば、医務官のサーシャさんとか」

「そ、それは困ります!」

フローネが異議申し立てをする。

「でも、あの二人って仲がいいんだよね。この前も隊長は悩みをサーシャさんに相談していたらしいよ。そういう目撃情報があるの。だから、フローネはしっかり水着でアプローチしないとね!」

ソフィーヤのウインク。

まるで必殺のようだ。

フローネの想いは全員にバレバレ。

かくして六人はそれぞれ準備をして、ハプワのサン・マリーノに出発した。

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