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御使 天馬

御使みつかい 天馬てんまは22歳。

天馬は少女たちをサーベルタイガーから守った。

しかし、天馬はまだ戦闘態勢を解かなかった。

サーベルタイガーは手下にすぎない。

それを操っている奴はほかにいる。

「フッフッフ……よくもサーベルタイガーを倒したものだね。さすがだよ、天馬」

そこに角から一人の男性が現れた。

髪は銀色で服は黒だ。

「シャファン!」

天馬が男の名を叫ぶ。

男……シャファンは優雅な笑みを浮かべていた。

シャファンは天馬からメグミとキナコに顔を向ける。

二人の顔が引きつった。

シャファンは右手を一振り。

それだけだった。

「え?」

フローネはわけがわからないようだった。

メグミとキナコが突然何かに切られて倒れたのだ。

二人はどしゃっと地面に倒れ込む。

二人の体から血が流れる。

「シャファン! 無関係な子を巻き込むな!」

天馬が吼える。

「フッフッフ……このぼくたちの戦いに居合わせた時点で無関係などありえないさ」

さきほどの攻撃はトリックでも何でもない。

シャファンは風の刃を操って二人の少女を切ったのだ。

これから分かる通り、シャファンの攻撃属性は『風』だった。

それに対して天馬は光を刃にまとわせる。

天馬の攻撃属性は『光』だった。

「さて、少し君と遊んであげようか、天馬? フフフフフフ……」

シャファンの体から魔力がほとばし出る。

シャファンは再び腕を振るった。

これはさきほどメグミとキナコを切った攻撃だ。

天馬はそれを刀で防ぐ。

天馬にはシャファンの攻撃の理屈が見えていた。

「へえ、この攻撃が効かないとはね……さすが天馬。よく受け止めたね。でも、これはどうかなあ?」

シャファンは顔を歪めた。

シャファンはさきほどと同じ風の切りを何度も天馬に浴びせる。

しかし、天馬には通じない。

天馬にはシャファンの攻撃が手に取るようにわかるのだ。

それを何発出されたところで天馬にダメージを与えることはできない。

「無駄だ。おまえの攻撃は見切っている。この俺にダメージを与えることはできない」

それは天馬の宣告。

しかし、それにもかかわらず、シャファンの表情はどこかうれしそうだ。

「フッフッフ! それでこそぼくの好敵手だよ、天馬! さあ、これをくらうがいい!」

シャファンは自らの前に一つの風の刃を出現させた。

天馬の顔が曇る。

天馬は背後の少女、フローネを見た。

フローネはがくがくと震えていた。

無理もない。

そう天馬は思った。

このような異能の戦いを見せられてはがくがくと震えるのも無理もない。

それに思考が追い付かないのだ。

本能的に恐怖を感じるのだろう。

シャファンは風の刃を天馬に向けてくる。

「死ね!」

「はっ!」

風の刃が放たれた。

一直線にこの風の刃は対象を切り裂く。

天馬は刀を上段に構える。

風の刃が飛来する。

天馬は光の刀で風の刃を一刀のもとに斬り裂いた。

風が霧散する。

「どうした、シャファン? おまえの攻撃はこの程度か?」

「フッフッフ!」

シャファンは再び薄ら笑いを浮かべる。

シャファンはどこかうれしそうだ。

「フッフッフ! なら、これはどうかなあ? 三重風刃さんじゅうふうじん!」

シャファンは三重に重なった風の刃を出現させた。

もちろん、威力はさきほどの三倍だ。

「さあ、これで終わりだよ! 死ぬがいい、天馬!」

天馬の前に三つの風の刃が一発ずつ放たれる。

風の刃は天馬を切り殺すべく突っ込んでくる。

天馬は刀に光をまとった。

天馬の刀が輝き出す。

天馬は風の刃に対して、光の刃を刀から放った。

その光の刃は三つの風刃をぶち破り、シャファンに飛来する。

シャファンは大きく目を見開いた。

だが、シャファンはこの程度で終わる相手ではない。

案の定、シャファンは赤い障壁を張って、天馬の攻撃を防いでいた。

「フッフッフ! さすがだよ、天馬。では、今日はこれくらいで終わりにしておこうか。アディオス、天馬!」

シャファンは黒い魔法陣を出現させると、その中に消えていった。

その瞬間、どさっとフローネが倒れた。

おそらく精神が限界に達したのだろう。

「やれやれ、この三人を保護しないとな」

天馬は刀をしまった。

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