ソフィーヤ
その日天馬、フローネ、ツェツィーリアはユーリアの本部に呼ばれた。
そこには一人の銀髪の女性がいた。
彼女は銀髪をお団子にしていた。
「みんな、来たわね」
ユーリアの第一声。
「ユーリア大佐、本日はどのような用件で?」
天馬が声を出す。
ユーリアが銀髪の少女の顔を見た。
銀髪の少女がうなずく。
「みなさん、初めまして。私はソフィーヤ・ダニイロヴナ・アレクサシェンコ(Sofiya Daniilovna Aleksashenko)と申します。私も特殊防衛隊に配属された能力者です。これからよろしくお願いします」
ソフィーヤと名乗った少女がおじぎする。
天馬はさっそく応える。
「俺は御使 天馬。この部隊の教官を務めている。よろしくな」
「フローネです。よろしくお願いいたします」
「ツェツィーリアですわ。よろしく」
三人が三人とも自己紹介する。
「名前で分かる通り、私はロシア系移民です。二つ目の名のダニイロヴナとはダニイルの娘という意味です。つまり、私の父の名はダニイルです」
笑顔でソフィーヤは自分のことを解説する。
ソフィーヤはどうやら人当たりはいいようだ。
ツェツィーリアのように反抗的ではないし、ソフィーヤは軍の規律に従うことができそうだ。
これなら良好な関係を築くことができるかもしれない。
「あ、わたくし、トルストイを読んだことがあるので知っていますわ。ロシア人の名前は三つで構成されると」
「はい、その通りです」
ほほえみながら語るソフィーヤ。
一見問題がないように天馬には思えた。
だが、それは後で粉砕されることになる。
「ソフィーヤさんには今回の訓練から参加してもらうわ。ソフィーヤさん、天馬教官があなたの教官よ。彼の指揮に従うように」
「はい、わかりました、ユーリア大佐」
輝くような笑顔で答えるソフィーヤ。
天馬はソフィーヤはいい子だなと思っていた。
別にフローネが悪いわけではないんだが……。
天馬たち四人は基地の外にジョギングすることにした。
服装はジャージ。
集合場所は正門前だ。
天馬は一人先についたので、一人で体操していた。
そこにソフィーヤがやってくる。
「おつかれさまです、天馬教官」
「ああ、ソフィーヤか。早いな。しっかり体操しておけ。若いとはいえ、筋を伸ばしすぎてけがをするかもしれないからな」
「はい、わかっています」
ソフィーヤは従順に答えた。
笑顔がまぶしい。
「教官、お待たせしました」
「フローネか」
そこにフローネがやってくる。
天馬はフローネを見て笑った。
フローネも天馬を見つめ返す。
それを眺めていたソフィーヤはフフーンと何かひらめいたようだった。
「あら、お二人は恋人同士なのですか?」
ソフィーヤがニコニコしながら尋ねてくる。
「いや、まだそんな関係では……」
「まだ、そんな関係じゃ……」
「『まだ』?」
ソフィーヤが二人の言葉の上げ足を取る。
天馬とフローネは互いに赤面した。
天馬には長い時間が流れたような気がした。
「お待たせしましたわ」
そこにツェツィーリアがやって来た。
四人は体操を済ませると、基地の外に走りに出かけた。
天馬は先頭に立って走る。
今はフローネの体力も上がり、天馬のスピードについてこられるようになった。
天馬は走りつつ、ソフィーヤのことを気にした。
そんな天馬のことなどおかまいなく、ソフィーヤは余裕で天馬のスピードについてきた。
「さすがだな、ソフィーヤ。このペースに余裕でついてこられるなんて」
「いえいえ、私なんてまだまだですよ」
ソフィーヤは謙遜するが、さわやかな笑顔があった。
それにつられて天馬も笑顔になる。
天馬たちがたどるジョギングコースは町の中の湖を一周するコースだ。
湖の入口で休息し、それから基地に戻る。
四人は汗をたっぷり書いて基地に戻った。
フローネ、ツェツィーリア、ソフィーヤの三人は公衆浴場を訪れた。
いわゆる裸の付き合いである。
三人はシャワーで髪と体を洗った。
フローネは全身をボディーソープで洗っていた。
そこの背後からソフィーヤが忍び寄る。
ソフィーヤはフローネの後ろから、フローネの胸を揉みしだいた。
「きゃあああああああ!?」
「あら、フローネさん、けっこうボリュームがありますね。フフフ……天馬教官に見せられたら喜ばれますよ?」
「な、な、な……」
フローネは耳まで真っ赤になる。
「フフフフ……」
ソフィーヤが妖艶な笑みを浮かべる。
「いいじゃありませんか、このくらい……殿方は胸が大きいと喜ぶそうですよ? フローネさんほどのバストサイズなら、天馬教官もきっと喜ばれますから」
ソフィーヤがフローネの耳によからぬことを吹き込んでくる。
「ソ、ソフィーヤさん、いい加減にしてください!」
フローネが抗議する。
「うふふふふ。これくらい裸の付き合いではありませんか」
「ソフィーヤさん、本気で怒りますよ!」
フローネは声に怒気を含ませた。
「あら、残念……」
ソフィーヤはあっさりとフローネから離れた。
その後ソフィーヤはツェツィーリアに抱きついて胸を触った。
「ひゃあああああああ!? ソ、ソフィーヤさん、何をするんですの!?」
「ふっふふ……女同士裸の付き合いをしようと思いまして」
ソフィーヤはツェツィーリアを逃げられないように拘束する。
「ちょ、あ、やん! ソフィーヤさん! いい加減にしてくださいませ!」
ツェツィーリアも怒りをあらわにする。
「あら、怖い」
ソフィーヤはツェツィーリアから離れた。
その顔にはいたずらっぽい表情があった。
「ソフィーヤさん、これ以上何かすると怒りますわよ!」
「うふふふふ。仕方ありませんね」
ソフィーヤはしぶしぶと体を洗いに行った。
フローネとツェツィーリアは体を洗うと湯船に入った。
フローネは自分の胸を見た。
フローネはさきほどのソフィーヤの言葉を思い出していた。
男性は胸が大きい女性を気にするという。
フローネは自分の胸は同世代と比較して大きい方だと思っている。
天馬も胸が大きい女性が好みなんだろうか?
フローネは湯船の中で悶々としていた。




