一つの恋の終わり。こんな日でも僕は笑っている
長編は別サイトで投稿予定です。
まずは短編で腕を慣らしています。
まだ薄いビスケットのようにサクサクと読めるものしか出来ませんが、評価・感想お待ちしております。
君の顔を見ていると僕の中の男が目覚めそうになる。君の体を見ていると僕の中なの理性が壊れそうになる。早く悲鳴をあげてよ。ほら、泣け。どうして? 君は返事をしないの? もしかして嫌いになった?
通学路、僕をいじめてくるクラスメイトと顔を合わせないようにフードを深く被り、ノイズキャンセリングイヤホンで外の音を取り込まないように、学校へ速足で向かう。
「あれ、今日も学校に来てるじゃん。いい加減退学すればいいじゃん。毎日トイレでご飯を食べて、授業中なんて寝てるだけなんだからさ。なにその反抗的な目つきは? 私が親切に教えてあげてるんだから、ありがとうくらいいったらどう? それとも言ってることが間違ってると思ってるの?」
「いや、田所さんが言ってることは正しいと思う。その通りだけど、僕は学校に行かないと行けないんだ。君こそ、僕に構う暇があるなら、単語の1つくらい覚えたほうがいいんじゃない?」
田所千草は正論を言うと顔をトマトのように真っ赤にしながら、手を丸めて、握りこぶしにして、頭に拳骨をしてきた。正論を言われるとすぐ怒るなんて幼稚すぎると思いながらメモ帳に殴られた数を書いていく。計99回目。そして僕は最後の忠告をする。
「今ので僕を殴った回数は99回ね。これは田所さんが大好きな親切心からの忠告だけど、あと1回僕を殴るのは辞めておいた方がいいよ。」
「また、弱虫の言い訳? そんなあおりのようなことを言ってきて殴らない人がどこにいるか教えてくれない? ムカつくんだよ。いい子ちゃんぶりやがって」
怒りの握りこぶしが右の頬をえぐる様に刺さってくる。歯が数本折れるような痛みと拳の跡が赤く残っており証拠にもなるだろう。常人ならこの事を告げ口するかもしれないが、僕はそんな優しいことなどしない。放課後、彼女を殺めるために行動を開始しよう。
三歳の時に自分が自分であることに気づくと、ペットをバラバラにしながら殺めることに成功した。その時の快感は三歳児ながら、脳の奥深くに刻み込まれるように記憶されている。八歳になり、いじめられるようになった。流石に人を殺すのは禁忌に触れると我慢するが、日々嫌がらせはエスカレートしていくだけだった。片親で可哀想なやつと罵倒されるだけなら良かったが、母さんが初めて買ってくれた筆箱をゴミ箱に捨てられてたのを見た時に今の僕が出来あったのかもしれない。
その日の放課後、体育準備室にいじめっこを呼び出して外側から鍵をかけて、出られないようにしたところで冬に使う業務用のストーブを真夏の熱中症が流行る時期に、使って苦しめながら殺した。
(やめてくれ。やめてごめん悪かった。許してという)という悲鳴を聞きながら絶頂した。あの悲鳴をまた聞きたい。十年ぶりの楽しみを僕は今か今かと楽しみにしている。
いつも通りの、罵倒と物隠しの一日が終わり、バイトへいくもの、部活へいくものなどが次々に教室外へ出て行った。最近の高校にはカメラが多いということから、外で実行することに決めた。田所千草は、俺が教室を出るまで絶対に席から動こうとしないのがいつも不可解に思うが、逆に都合がいい。
ショータイムを始めよう。
街外れの山にある廃墟は人の殺し方を学ぶための秘密基地として使っている。持ち主が不明のままで行政は差し押さえしようとしたが、手続きをするものたちが相次いで不幸が起きたことから誰も近づかない呪われた廃墟になっていた。
コツン、コツンと後ろをつけてきている足音がきこえてくる。その足音を聞いて速足にするとこつんこつんこつんと後ろの足音も早くなっていった。罠に誘導していると実感するとゾクゾクして声が出そうになるがまだ我慢する。あの角を曲がれば、獲物をつるし上げることができる。
「うっげ、苦しい。苦しい、降ろして」
「やあ田所さんこんなところで何してるの? 宙にぶら下がってるみたいだけど、そんな趣味でもあったの?」
「うるさい、早く降ろしなさい。息ができなくなりそうで苦しい」
がしゃんと縄を固定する金属型が、揺れている。目の前で同級生が死を直感しながら全身をばたばたと揺らしている。そんなことをしても逃れることはできないのに必死な様子を見ちゃうと興奮してくるからやめてほしい。
十分後、青紫色の顔になった田所さんは動きが止まった。そして息すらしていない。彼女は死んだ、いや彼女を殺した。制服を物色すると手帳が出てきた。
12月3日、今日大好きな歩に告白をする。いつも意地悪してるけど、彼はどこか寂しそうな顔をしているから、私が傍で守ってあげよう。
そうか。そういうことだったのか。いじめっ子は関心があるからしてくるのか。そんなことを知らない僕は......
ニュースです。廃墟にて男子高校生とみられる死体と女子高校生とみられる死体がありました。警察は自殺と特定した模様です。
「田所さん愛に来たよ」
「気持ちを伝える前に殺すなんて最低」
二人は無で愛し合うのだった。
誤字報告ありがとうございます。