イタリア語と博士と助手の話
「助手君、Ti voglio beneだよ!」
僕と博士しかいない研究室では、今日は博士の聞き慣れない言葉が響く。
「えっと……、博士、今のは……?」
「イタリアで伝わる、ちょっとしたおまじないのような物さ。」
「は、はぁ、なるほど……。」
「まぁ、私たちの関係がいつまでも続くようにといった感じさ。」
「ふ、ふぅーん……」
関係がねぇー。
まぁ、ある意味、そう言う意味だよなー。
「うん?どうしたんだい、助手君?」
「い、いえ、なんでもですよ!」
「……なんか怪しいな。なんだい、何隠しているのかい?正直に言ってみなよ。」
「えっと……、じゃあ、正直に言わせてもらうんですけど、僕イタリア語分かるんですよね……。」
「へっ?」
「僕……、大学生の時、1年間イタリアに留学していたので、ある程度のイタリア語は分かるんですよね。だから、さっき博士が言った言葉の意味も実は……。」
「……」
博士は真っ赤な顔を手で隠して、俯く。
「……あ、い、いや、そうか……、そ、それは、す、すまなかった……。」
「い、いえ、大丈夫ですよ。」
「……」
「……それにしても、まさか博士がこんな言葉を僕に言うなんてな~。それもバレないように外国語で言うんだもんな~。」
「もう、言うな!止めろ!止めてくれ!」
博士は俯きながら、僕の腕をポコポコ軽く殴ってくる。
「あはは、あー、面白い。全く博士は面白いな。」
「もう!だから言うなってば!ぐぬぬ、いいから実験の続きをするぞ!」
「はいはい、分かりましたよ。と言うか博士の所為で実験、止まっていたんですけどね。」
「うるさい!もういいからやるぞ!」
「はーい」
そうして、僕は顔を真っ赤にさせた博士と共に、実験の続きをしていくのだった。
ちなみに「Ti voglio bene」については是非とも調べて見て下さいw
皆さんこんにちわ 御厨カイトです。
今回は「イタリア語と博士と助手の話」を読んでいただきありがとうございます。
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