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夜営

村をでてから、10日経っていた。

明日には着くドウキョウの目的地の町は、アイテットというそうだ。

町のシンボルの教会に行って調査をするらしい。



そんなドウキョウともかなり打ち解けてきて、村をでる前に感じていた苦手意識はなくなっていた。

3人での旅にも慣れ、何となく役割分担も決まってきた。

昼間よく寝てるドウキョウは寝ずに見張りをしてくれる。


テオは食料を狩りで採ってくる。

そのおかげで、ほぼ猪の魔獣である美味しいブルファング肉を食べることができている。


ちなみに俺は馬の世話と料理番を担当している。

今はブルファング肉を最適な火加減で焼いている最中だ。





「そういえば聖教って神父と僧侶がいますけど、どういう違いがあるんですか?」


「聖教では各地の教会に駐在しているものを神父。各地を転々として人々に教えを広めるものを僧侶と呼ぶのですよ。」


「なるほど!だからドウキョウさんは僧侶ということなんですね。」



しかし、地球の宗教と同じ呼びなのは何故だろうか



「かつてこことは違う異世界からやって来た勇者様の一人が僧侶だったそうですよ。魔王がこの世界で生まれるたびに勇者が現れますからねぇ。Sランク冒険者にも勇者の末裔がいるらしいですよ」


「いつかSランク冒険者にあってみたいです!」


「最近Sランク冒険者が魔山脈の麓に調査で滞在しているそうですよ。行けば会えるかもですねぇ。」



魔山脈は人間の生存権の北端に連なる山脈で、そこから上は魔国と呼ばれている。

理由は人智を超えた魔獣が跋扈する場所だからだ。

なんでも1万年前に魔王が誕生した地で、いまだに当時の魔王の瘴気から魔獣が生まれているそうだ。


「魔獣関連の調査でしょうか?」


「確か、麓の村が燃えていてその調査だったとか。1年たった今も魔山脈の一部とともに燃え続けているそうですよ。火の魔法を使う魔獣でも居ついたんでしょうかねぇ。」


「へー、……って!! ロロネさん!肉焦げてないですか!?」


おっと、話を聞くのに集中していたら少し焼きすぎてしまった。

この肉はスープに削って投入することにする。



「そういえばロロネ殿はなんで冒険者になったんですか?」


「そういえば僕もしっかり聞いたことがなかったです!」


ドウキョウの言葉にテオがものすごい勢いで食いついてきた。

正直大した理由はないな……。

一攫千金、英雄願望といったところだがテオの羨望のまなざしに勝てなかった俺は、


「……いつか教える」


そうカッコつけてごまかした。


「ロロネさん!僕のことを話せるぐらい信頼して貰えるように頑張ります!」


「ぬふふふ!ロロネ殿の過去。拙僧も興味深々ですぞ!!」


なんかハードルを上げてしまったな。

適当にそれらしいきっかけでも考えなくては、あとドウキョウには一生教えないだろうな。


この後、ブルファング肉をテオとドウキョウが取り合う争いが起きたが、俺は気にせずに眠りについた。




---------------



次の日、また移動を再開して3時間ぐらいたったころにアイテットのシンボルである聖教の教会が見えてきた。


「二人ともついたぞ」


テオは10日近く戦闘をしてくれていたからだろう、今起きたといった様子だ。


「やっと着きましたね。早くベッドで眠りたいです……。」


「そうだな」

「教会に行けば寝食くらいは提供してもらえるでしょう!なんたって拙僧がおりますからな!」


ドウキョウはめちゃくちゃ元気だった。

こいつはパッと寝てパッと起きるから同じ生活リズムだとタチが悪い。


「教会で世話になるかはわからんが、神父に挨拶はしないとな。テオ、もう少し頑張ってくれ。」


「はい。頑張りますぅ。。」



眠そうなテオには気の毒だか、一応は依頼人でもあるドウキョウの目的を優先する必要があった。

それに、教会で泊まらせてもらえれば宿代が浮くだろうし。


町の入口はそれなりに丈夫そうな石の門で、その横には5人ほどの門兵があたりを警戒していた。


「おや?門兵が5人いますねぇ。普通3人もいれば多いほうなんですが。」



ドウキョウの話では、村の様子がおかしいとのことだったので素性を訪ねてきた門兵に事情を聴いてみることにした。」


「魔獣でも現れたのか?」


「町で数人魔獣に食われていてな。どんな魔獣かはわからないが、俺たちがボケっとしている隙に魔獣が入ったとかなんとか言われてたまったもんじゃねーよ」


「おやおや、でも魔獣はここから入ったんじゃないですかねぇ。周囲の防壁はそう易々と魔獣を通すような代物ではないですし、入口はこの門だけでしょう?」


「俺たちが一日中ボケーっとしているってのか!?」


「ドウキョウさん!少し黙っててください!」


テオの言う通りだ。

ドウキョウの一言で門兵たちがムッとしたのがわかった。


「すみません!この僧侶、頭が少しおかしいんです!」


「テオ殿、それは少し失礼ですぞ……」


この後、何とかなだめて入れてもらうことができた。

馬車も預かってくれるそうで、こちらの失礼な対応にも関わらず親切な兵士だった。

ドウキョウが失礼でごめん と心の中で謝っておく。


こうして何とか町に入れた俺たちは、目的地の教会に向かったのだった。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

ー今度から水曜投稿しようかなと思いますー


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