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【プロローグ】こうして男は転生した。

初投稿です。

なんてことだ…



異世界転生してしまうとは。




前世では、


俺は、不動産会社で営業マンとして働いていた。

新卒で苦労して入社した会社だけあって、給料も高く、俺の能力が低すぎて給料泥棒扱いされていた点を除けば順風満帆な人生だった。


周りの奴らが優秀すぎると思うんだが、いつしか自分の居場所がなくなり、俺は孤立した。

上司に媚を売ったり、後輩にもどうやったら成果を出せるのか必死に聞いて回ったりしたし、週末も遊ばずに勉強を続けたが、駄目だった。


期末の賞与について、上司からの評価を聞いたときに、俺は目の前が真っ暗になった。





目が覚めると真っ白な世界に一人ぽつんと立ち尽くしていた。

「なんだここ、夢か?」


 「「お前は転生する」」


だれだ?ここには俺以外誰もいないのに、

見られている気配は感じるが…


「誰なんだ…?ここはなんだ?」


…返答がない。神的な存在なのか…?

転生…?俺は死んだのか…?なんで??

「なんで?」

「なんでなんだ? 死ぬようなことなかっただろ?」


頭の中が疑問符でいっぱいで混乱していた。

確かに死ぬような絶望を感じたが、健康診断ではAだったし、体調も悪くはなかったはずなのに…

そもそもこれから自分がどうなるかという不安で、とてもじゃないが冷静な思考が保てない。


いや、思考どころか意識さえ薄れてきている…

でも、前世では苦労ばかりだったし、転生でも死んでも問題ないか…

最後に苦しみから解放されると気づいて安心できたのが、せめてもの救いか。

こうして、眠るように俺は意識を失った。




そんなわけで、俺は前世の記憶を持ったまま赤ん坊に生まれ変わった。

転生先の世界は、いわゆるファンタジーの世界で、生まれたばかりで戸惑っていた俺も、心機一転、2度目の人生を楽しむことにした。

しかしながら、ネット小説とかで定番の、チート能力があるかと期待したが当然のようになかった。


ならば、前世の知識とか活かそうとかなんとか考えたが、スマホもない現代人が持ってる知識はたかが知れている。

そして、俺は魔法も剣も才能がなかった。


そう、俺は、2度目の人生も落ちこぼれているのだ。





「おい、ロロネ! また、薬草集めか? 何十年も薬草集めている奴ぁ、世界中探してもお前だけだぜ!」


そして、ロロネこと俺は、冒険者として働くことにした。

異世界転生したら、冒険者にならないといけないわけじゃないが、俺が転生した意味は、冒険者になって初めて見つかるような気がしたのだ。


「ボードンがロロネに無視されてやがるぜ!!わははは!」

「おい、ロロネのくせに無視すんな!!」


若干、英雄になりたいという願望があったことは否めない。

だが、前世の経験が全くいきないんじゃ神様もがっかりしているだろうな。

神的な存在なのかも定かじゃないが。


「こいつ、許さねえ!!」


ここで、ようやく俺にもギルドの狭いテーブルを吹き飛ばして、D級冒険者のボードンが、武器屋を半ば恐喝して手に入れたと自慢していた斧を持ち上げたのが見えた。



「ボードン。すまなかった。 ボーっとしてたんだ。 話せばわかる。」


聞こえてないな、俺の細腕と安い銅製の剣では合わせただけでひしゃげるだろう。

ボードンは、今でこそこんな辺境の村にいるが、王都で冒険者をやっていた実力者だ。

村で最強を選ぶとしたら、ボードン。村で唯一のD級冒険者なのだ。


「ボードンさん! ここで暴れたらだめです! 今日のところは、僕の報酬をいくらかお譲りするので、それで勘弁してあげてください!」


その時、ボードンのパーティで全員分の荷物持ちをしていた少年が僕の前に飛び出してきた。

名前を憶えていないが、彼のことはボードンが荷物持ち兼、囮だと言っていたから知っている。

たしか、最近16歳で成人して冒険者になった少年だ。

俺も25歳。成人してから9年間、薬草を拾い続けてきた俺にはない誠実さを感じる。


「テオ、お前は荷物持ちしかしていないんだから、元から報酬なんざねえんだよ!」

「ツッ……! でも、店で暴れたら出禁になっちゃいますよ!」


冒険者ギルド規則13条「冒険者の報酬の分配は、特約がない場合は平等とする。」に違反しているな。

そろそろ俺も謝らないとやばそうだ。


「ボードン。すまなかった。少ないが今日の薬草採取の報酬だ。受け取ってほしい。」


ボードンを怒らせたらこの村で冒険者はできない。ギルドも容認している状況なのだ。


結果として、ボードンに俺はぶん殴られた。

「一発で勘弁してやるよ」

そう言い残して彼は俺の報酬を手に、ギルドを去っていった。



「ロロネさん、大丈夫ですか?」

「報酬分とは別に薬草を取ってあるから問題ない」


フードを深くかぶっていて分からなかったが、テオと呼ばれていた荷物持ちの少年は、金髪碧眼の美少年だった。

身長と骨格は俺と同じくらいにほっそりしているのに、程よく筋肉がついていて前世ではアイドルとかやってそうだ。

吹き飛んだ俺を起こそうとしてくれるあたり、性格も良いらしい。


「助けてくれてありがとう。骨も折れていないし問題なさそうだ。明日は毒消し草を取りに行くから、ボードンの奴にも感謝しないとな」


「ロロネさん、なんで冒険者をやっているんですか?」

少年から唐突に聞かれたが、はっきり言ってたいそうな理由なんてない。


「探し物があるからかな」

特に何も探してないが、なんか冒険者らしいセリフを言えたと思った。

強いて言うなら、俺に貢いでくれるつよつよ冒険者を探しているが、なかなか巡り合えていない。





荷物持ちの少年には改めてお礼を伝えて別れた。

安宿で明日の毒消し草の採取準備をする必要があったし、少年はこの後パーティー全員分の荷物を運ばなければならないのだから。


最後までお読みいただきありがとうございました。

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