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「いきなりで悪いけれど、貴方達がキョウレートを燃やしたのかしら?」
妖しげな女に声をかけられた。
勿論未だに洞窟の中というわけで、相手から話かけられたと云うのはあまり嬉しい話をされる事は無いと今までの探索の中で身に付いている。
「そうだけれど、貴女はどちら様ですか?」
僕は警戒しながらの応答になっている。
見ればまた物凄い美女!そして、回りに付いている数名も美女である。
この時既に僕は負けているのである。女子に弱い。
すぐさまいくみのナイフが僕に刺さるのでは?みたいな動きをいくみが魅せながら前に出た。
「何かご用?相手が死ねと言われて、そうですね!とはならないでしょ?キョウレートはどうしたの?燃えたからねぇ~」
いくみの妖しげな笑みが相手を挑発するようにみえる。
「あら!可愛い女の子達がいるのね。キョウレートが狙う訳だわ。私はキョウレートと仲間でもあるサーシイドって言うのよ。今回は顔合わせって事で、私達の纏めている者が一度見に行けとの事でしたので、ルイアの話も聞いていたから態々コウモリの悪臭がする場所迄来てあげたの。」
かなり余裕な感じの話し方である。強いんだろうな?って雰囲気しか見えない。
「今回は貴方達を見るだけなので何もしないわ。後ろの槍を構えている子どもさんに教えてあげて。」
振り返ると桃が今にも飛び出しそうな槍を構え方である。
「子どもじゃないわよ!よく中学生と間違えられるけど!お酒呑んでると補導されそうだけど!」
かなり自虐ネタばかりですが……まぁ、桃の場合はなんとなくサーシイドって美女と同感であるのだが。
「顔合わせだけ?だったら早く消えなさいよ。鬱陶しいわ。その露出はキョウレートに媚びる時には丁度良さそうね。」
彩希がなんとなく挑発している。
考えてみると僕の仲間の女子達も随分と好戦的なんだよなぁ…
「そう!貴女はそんな感じで見ているのね。キョウレートは私の部下であり私に近寄る事等できないわ。態々男に媚びる必要は無いでしょ?あ、貴女達は媚びなければ寄って来ないのかしら?」
悩ましい笑みを魅せながらサーシイドが女性陣を見回した。
はっきり言ってこれは戦闘よりも口撃合戦と言えばいいのだろうか?口喧嘩みたいな雰囲気になっている。
因みにチェリー否、ハカセはオロオロもできず固まっている。
これは今までに無い闘いになりそうだ。
なんとか戦闘にならない様に穏便にいきたい僕なのである。