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「こんな投げ方をするなんてねっ!早く連れ去りたいわぁ~」
薄ら笑いでキョウレートは自分の帽子を埃を払いながら手にした。
「なんか強そうね、でも…言っている事が私は生理的に合わないの。近寄らないで!」
彩希が包丁で斬りかかる。
スッ!と避けるのだがキョウレートは反撃をする気配を見せない。
「それはさ、傷つけたら勿体ないだろ?生け捕りとはそこまで考えないといけないんだよっ!」
と、言いながらまた僕に向かって剣で斬りかかってきた。
カツン!と軽い音を立てて僕の鉄パイプはキョウレートの剣を受け止める。
少し離れた距離なら魔法?を撃てると思うのだがなかなかそうはいかない。
「キラー!僕とすずかと朱音でその他の奴等を倒すから、後はなんとかしてくれ!彩希といくみと桃がいればなんとかなるだろ?」
ハカセがなかなか無理な配置を作った。
桃が小声で僕に…
「なんとか距離を作るからいつもの魔法を出しちゃって!」
と言いながら、
「一番槍~」
と突進していった。
全然一番では無い。
その距離間隔ならと僕は野球の素振りの振りからの縦に振り落とした!
結論から言おうか、
キョウレートは全身火だるまになりながら仲間に担がれ消えたのだ。
「なんで、いつもの水の魔法じゃなくて火がでたのよ?」
彩希が青ざめた表情で僕に聞いてきた。
そう、いつもの水の攻撃だと思いきや、いきなり僕の鉄パイプからは火が出たのである。
「こっちだってびっくりしたよっ!ゴーって、ガスバーナーみたいなのが一気に出るんだもん!」
僕自身何が何だか分からない。
「桃はキョウレートと一緒に焼き桃になっちゃう所だったよ!あんなの先に言ってよねっ!」
桃が怒り気味に…
気のせいか?勝ったのに、怒られてる気がする。
「キラーちゃんの魔法がみんなびっくりして、みんなそれどころじゃなかったんだよ!あんな火が出てくるなんてねぇ~勝てたから良かったけれど…」
いくみの言葉もあまり誉めてくれてはいない。
「こっちだって朱音の薙刀の柄が僕の頭にヒットしたよ!みんなで一斉に火の方向見ちゃったから!」
まだハカセは頭を押さえている。
「ほんと、ギラ!とか言ってから…」
すずか!それは違うやつだから!
しかし、火が出るなんて……
果たして何故火が?
そして、いつもの水の魔法は?
僕の魔法は謎が深まるばかりである。
我ながらミステリアスだぜ!
彩希が僕の心を読んだみたいに睨み付けた。
彩希の方が魔女なんじゃ………そんな事想えばまた睨まれるか。