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いよいよこの国サングレアルのシャザール城にいる新柿読王に会うとの事で少し僕とハカセは緊張していたのだが、女子3名はワイワイ楽しそうな……
「兎に角イケメンだったら取り合いだよねっ!」
やっぱり金と楽をモットーに且つクールキャラとのギャップしかない彩希は怖いわ。別れて良かったと思いながら、ここでまた一緒に動くの大変だぞ!ってハカセにも微妙なニュアンスで耳打ち。いつかは、様々な悪行をお伝えしたいとも、胸の内にしまいたいとも考えてしまう。
水泡蘭先生の先導でいよいよ大きな扉が開いた。
「あっ!却下~」
呟くなよ彩希!!!
王である新柿読様は言い切って言ってしまえば、デブでハゲでオッサンだ!僕よりも少し上だろう。豪勢な服は着ていない。バスローブみたいのを着てるだけで、王冠とかも無い。
少し甲高い声を張り上げて
「強引にこのサングレアルにお呼びして申し訳ない。ここ、シャザール城の城主新柿読です。我々は悪魔に触れられたら石化するのだ。そして何故か君達は石化しないのが判明した。申し訳ないがこの世界を救いそして君達に繁栄してもらいたいと願っている。悪魔を過去に倒した事のある水泡蘭殿直々に連れて来られたのだ、今後頑張って頂きたい。よろしくお願いいたします。」
王の部屋をあとにした。
王である新柿読王が丁重な挨拶をしてきたので、黙って聞くしか無かった。そして唯一悪魔を倒した事があるのが水泡蘭先生と言うのがびっくりした。
水泡蘭先生はどちらかと言えば細い華奢な感じで、水色に輝く鎧からも優しいイメージしか無かったからだ。
「新柿読王も許可していただいたのだ、これからいよいよ行きますので、各々自覚して協力してもらいたい。」
水泡蘭先生の一言が今までと違う感じに思うのは悪魔を倒した事がある唯一の人と言うことが判明したからだ。
「水泡蘭先生はここの人じゃないの?石になるって言ってたけど……」
一番冷静なのはやはり、いくみなのかも知れない。質問の要領がいいんだ。こっちはなんか悪魔って何色ですか?みたいのを聞きそうになってたし。
「私はみんなと同じ場所から来ている。水泡蘭はここでの名乗りに使いだしたのは悪魔を倒してからだ。こっちの方がなんか良かったからね!」
意外と水泡蘭先生も軽い話をしてくれたりする。兎に角睨まれても石にならなかったから倒せたとの事だ。こんな5名プラス水泡蘭先生で最初に向かっていくので、果たして訓練とは名ばかりの訓練で何ができるのか?不安だけで向かう事になる。