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「なかなか見当たらないね。本当に街なんかあるのかしら?村じゃないの?」
朱音がそんな事を言いながら遠くを見ているが、人里すら無い。
「あの時、結構他のグループも出ていったけれど、キャンプをした形跡はあるけれど誰も居ないし。」
ハカセが二日酔いの症状です!みたいな面持ちで歩いている。
「本当に無いよねぇ…僕は完徹になったから眠くてしょうがないもん。」
そう、僕だけ全員を見守ったまま朝になってしまったのである。
「キラー君が寝て無いのは寝そびれただけでしょ?もしかすると新しい魔法が使えるかもよ!」
彩希が笑いながら歩く。
「そんなので魔法ができるのならいくらでも寝ないでいるよ!」
そもそも、この魔法のおかげで無駄に注目を浴びたりしているのだが、未だに原理は解っていない。
そんな無駄話をしながら3時間程歩いたのだろうか?大きな屋根のある街並みが見えてきた。
「あっ!あんなに大きな街なんだ!もう桃は脚が上がらないよぉ~街が此方に来てもらいたい~」
桃がヘロヘロな表情で街を見ている。
「本当に街が来てもらいたいわ。まだ暫く歩くでしょ?」
すずかが言いながら鉈をスッと出した。そして小声で、
「誰か隠れてる。」
と………
草むらからいきなり10人位のいかにも悪者顔をした男達が出てきた!
「よぉ!俺達に通行料を支払えばこの先を通らせてやるよ!ここ数日サングレアルからゾロゾロと来るからなっ!此処等で俺達に許可しないとスタシスの街には入れないぜ!死ぬか、金を払うかだ!」
男が剣を振り上げながら脅してきた。
「スタシスって街なのね、ありがとう。邪魔だから退いてくれるかしら?」
彩希がいきなり男に包丁を振り上げた。
サッ!と、いくみのナイフが相手の手の甲に刺さる。
「オイッ!俺達はまだ何もしてな……」
いきなり話している途中でハカセの盾が頭にヒットして倒れる。
「死にたく無いし、お金を払いたく無いから貴方達を殺すわ。」
すずかが鉈を振り上げた時に
「相変わらず派手好きね。」
聞き覚えのある声が聞こえた。
「ヒツバー!なんでアンタがこんな所にいるのよっ!」
桃が槍をヒツバーに向けたが、ヒツバーは微動だにせず告げた。
「ブシャー様が貴方達がちゃんと此所まで来れるかを心配してたから待っていたのよ。フフフ、私は今は見ているだけ。今は結構忙しいから貴方達と再会したから行くわ。あっ!面倒だから他の雑魚には私からサービスしてあ・げ・る。」
言いながらヒツバーは強盗の奴等の横を通り過ぎ去っていった。
「なんだ!あの女も仲間か!…」
言いながら男は自分の胴体が顔と離れていった事を確認する様に倒れた。
「ヒツバーの槍の動きが見えなかったけど…」
桃が固まる様にヒツバーが向かった方角を見ている。