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「よくあのヒツバーの説明だけで付いてきたね、いや憑かれたのかな?」
笑みを浮かべながらブシャーが立っている。
以前逢った時はかなり身軽な格好だったのだが、今回はブルーの鎧を身に付けている。
そう、水泡蘭先生のブルーメタリックの鎧に似ている。
「鎧が気になるかい?悪魔だからって黒とか金ばかりじゃないんだよ。私の鎧もエメラルドグリーンだし。」
スッとヤマガクが出てきて話した。
「いよいよね、貴方達総メンバーかしら?」
妖しげな笑みを魅せながら彩希が見回した。
彩希の方が悪者なんじゃ……これ以上は包丁が来そうなので止めておこう。
「ああ、総メンバーと言いたい処だが君達に腕を落とされたチフィは流石に今回はまだ役に立たないのでいないよ。総メンバーって言っても間違いは無いだろうけれどね。」
ブシャーはかなり余裕な表情で僕達を見ている。
「一応ライヴで流しているんだ。まぁ、今回は最初位はいいかな?これから後の事は無理だろうけれどね。」
ヤマガクがすずかの方を見ながら話している。
「もう大丈夫よ、オープニングは撮り終えたわ。今迄何組のグループが貴方達と遭遇したのかは知らないけれど、この辺で終わりにしましょう。」
すずかが配信を止めて鉈を構えた。
「やっと前置きが終ったか!」
ガッ!と斧を持ち上げてニフエイが迫ってくる。
いくみのナイフがやはりニフエイの腕に1本刺さった。
「やっぱり私とニフエイは私の方が相性がいいみたいよ。」
いくみが顔面を紅潮しながらナイフが幾つか取り出す。
「またお前か!」
ニフエイがいくみを睨み付ける。
「ニフエイ、少しは俺にも………」
誰?
「あー!ゴブリンのキタモシよ。知らなかった?」
ヒツバーが苦笑しながら話しかけてきた。
「会った記憶が微妙にあるような?倒さなかったっけ?」
僕がキタモシを挑発する様な形になってしまったが、本当にあまり記憶に無い。
「お前等!」
キタモシが剣を振り上げながら向かって……
ゴン!と鈍い音を立ててキタモシが倒れた。嫌、吹き飛ばされた。
「僕も存在が薄いけれど、君程では無いよ。」
ハカセがキタモシを盾の一撃で倒してしまった。
「ニフエイはいくみとハカセに委せるとして、他が明らかに強そうだよね。桃は兎に角あの槍女を倒しちゃうよ!」
自分だって槍女なのに…
「あら~女子に指名はあまり嬉しくないわ。どうなの、少しは槍を持てる様になったの?」
笑いながらヒツバーが桃に向かっていく。
ガリッ!と音を立てたが桃が槍を止めた訳では無かった。
「桃だけじゃキツイでしょ?」
ヒツバーの槍を止めたのは薙刀の朱音だった。
「あー!じゃ、私は此方の美人とお話ししようかな?」
ヤマガクが彩希の方に剣を持ちながら迫ってくる。
スッ!とヤマガクが動きを止めた。
「ああ、そこの美女も一緒だったね。危うく私の首が地面にキスをする処だったよ。」
ヤマガクが見たのはすずかの鉈の動きだった。
「彩希、ヤマガクはまだ何も見せていないから一緒にいくわよ。」
すずかが彩希と一緒にヤマガクと対峙した。
「キラー君一人で私とやるのかい?流石主役だね。」
ブシャーに言われたけれど、そうだよ!僕一人じゃんかっ!
「そうだ、キラー君には私が直接的にやらなくてもこの子が君の相手をしてくれるよ。」
いきなり火の玉みたいのが飛んできた。
「そう、君がその耐熱性のマントがあるみたいだから暫く楽しめるでしょ?」
結構悪趣味な奴だな、ブシャーって奴は。流石悪魔だぜ。
「なんだよ!その火の玉!って戻ってくるし!」
僕は火の玉の自動操縦みたいのを相手にするのか?って目で火の玉を追うと鳥?
「気付いた?それは不死鳥フェニックスって云うんだよ。不死鳥って言いながら死ぬんだけどね。」
じゃ!不死鳥じゃないじゃん!ってツッコミを入れる前にまた戻ってきた。
「それだけターゲットが小さければ君の魔法も使えないでしょ?私は君の魔法が凄いのを認めているのでね。」
ありがとう!と言いたいけれど、確かに魔法の隙が無い速さだね。