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「あの時のヤマガクって男、あんなに気さくな話し方していたけれどあのAクラスの残りメンバーを殺しているのよね。よく私達に攻撃してこなかったわ。」
彩希が毎回の様にビールを片手に周りを見回す。
「あれ、相当強いよ。あの自己紹介の時に悪魔って言われる迄油断していたし。」
朱音が結構今回は憔悴している気がする。
相変わらずの街での食事だが、何気に僕達はキャリアが薄い割に有名だったりして様々なグループからの情報が入る。
「それで、ヤマガクの情報なのだけれど…誰も知らないって。恐らくだけど、ヤマガクに遭遇した人物は全員殺されているのでは?って話よ。」
いくみも僕とハカセより情報量が凄い。
必然的に僕はいつも聞き役である。
「毎回だけど、街に戻って反省しか桃は出てこない~また売店のオジサンに槍の使い方を聞いてみないと!」
桃は努力家の様でかなり横着みたいな感じで、いろいろな人物に話を聞いたりして自分の技に吸収している。簡単に言えば自分のオリジナリティってのは無い。
「そんな事無いわよ。桃が一番オリジナルよ。」
僕の心を読む様にすずかが囁く。
「桃は柔軟性があるから自分の技に持っていくのが上手いのよ。只、実戦向きじゃないけど。フフフ…」
酔ってるからすずかがよく話す。でも、店の喧騒で僕にしか聞こえていない。
今後の8階での歩き方等それぞれ話し合い、いつもの売店に足を向けた。
「よく、その装備で8階迄行ってるなぁ~なんか、装備品買いなよ!」
オッサンは相変わらず気さくなのだが、何かアイテムをくれる訳では無い。商売人だからね。
「無料の鉄パイプがうちの店のだった事で、問い合わせが多くてしょうがないから結構な金額で何本か売ってやったよ!そんなので、魔法が使えるのなんかキラーだけだろ?まぁ、儲かるから売るけど。」
相変わらず口も悪い。
「結局魔法使えるのって、キラーだけみたいな感じ?だとしたらやっぱり変態だよねっ!」
いくみが笑いながらそんな事言っている。
少しは褒めろよ。やっぱり変態って…
「次は8階の本当の探索よ。無駄に目立つから余計に目立ちましょう!」
彩希が全員が若干躊躇している8階への探索を促した。