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「なんだ!白いの君達が処分してくれたんだ!ありがとう。」
いきなり暗闇から蒼白いライトを付けて男が来た。しかも1人で。
「仲間に裏切られて刺されたのよ。そして、仲間は逃げて行った。」
いくみがすぐに応対すると、
「そうかぁ~仲間に裏切られたか。いやいや、いきなり声をかけてすまなかった。私はヤマガクと云う、まぁ~君達にしてみれば敵の悪魔って奴さ!」
とんでもない事を言ったので、僕達は慌てて後ろに退いた。
「なんて奴だよ!危ないわ!」
ハカセがみんなの前で盾を構える。
ヤマガクと名乗った男はエメラルドグリーンに輝く甲冑を身に付けてフッ、と笑った。
「安心していいよ、今は何もしないさ。そんなに身構えても大変だろう。そうかぁ、君達がチフィの腕を落としたグループだね。そんなに強そうに感じないのが、強そうな気配を飛ばして油断させてしまうのだろうね。」
ヤマガクは武器も納めて気軽に話かけている。今までの悪魔とは少し気配が違うが、此方も油断できない。
「先程コイツらの仲間が逃げて走って来たので軽く死んで貰ったよ、白い奴もいると思ったら君達が居たってだけさ。別にきょうは私一人では、チフィの様になりたくないのでね。顔合わせって事にして、消えるよ。」
あっという間に身を翻してヤマガクは闇に消えて行った。
勿論足音など一切聞こえずに。
「やっぱり8階って凄いの出てくる!勝てないよぉ~」
桃が涙目である。
「確かに今までの悪魔と雰囲気も違うし、なんか気軽に声をかけてくるって感じなのに強そうって思ったもの。」
すずかも画像を撮る隙もなかったらしく冷静になれていなかったらしい。
「これは大変よ。ヒツバーとダーメイマーにあのヤマガクって云ったっけ?それが組んでる訳だから…」
彩希がやはり相手に怯んだ事を気にもしている様子で、暗闇から白い顔を浮かび上がらせている。
「なんとなく気持ち的にヤバいから帰ろうよ。」
朱音が言った事で全員が頷いた。