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なんとなく流れで一騎討ちみたいになってしまった。
雑魚2にみんなで戦っているので、僕はやむを得なかった状態のままチフィと向き合う。
「なかなか楽しめるぞ。ここで俺と一騎討ちとはな。」
チフィが笑いながら若干の距離を作った。
チャンスは今しかない。
僕は鉄パイプを縦に振った。
再び何か分からないモノが飛び出てチフィの右肩に当たった。
いや、チフィが避けたので、右肩に当たったのだ。
「こ、これは初めて喰らったが凄い技だな。」
チフィが剣を落としながら此方を睨む。
その右肩から下の腕が地面にある。
「チフィ様!」
雑魚2がみんなの攻撃を避けながらチフィの元へ来た。
「キラー君の魔法ってあんなに凄いんだ。」
彩希が僕の隣に来ながら全員でチフィ達と対峙した。
「チフィ、貴方の負けよ。死にたく無いのなら右腕持って帰りなさい。」
女の声が響いた。
ヒツバーが槍を肩に抱えながらチフィの後ろに出てきた。
「キラー、あのチフィを追い込んだ事を見せてもらったわ。でもね、私の部下であるチフィをここで殺す気は私にはないのよ。ふふふ、いいわぁ強い男は…私は好きよ。」
妖艶な笑みを魅せながらヒツバーがチフィと共に闇に消えていった。
「キラー!完全に勝ってたのね!凄いわ~」
桃がにこにこしながら言ったが続けて、
「でも、ヒツバーが出たら動けなかったよ。あの女…」
桃は同じ槍を使う為かかなり敵対心旺盛な気がする。
「キラーちゃんの魔法って実は凄いんだね。まさか腕が地面に落ちるって、ちょっと気持ちが悪いけど。」
いくみの最後の言葉が僕と同じ気持ちでもある。
「僕もこんなに効き目があるとは思わなかったよ。罪悪感しか無い。」
僕は正直、この闘いでこんなに不安な気持ちになるとは思っていなかった。
「やっぱり倒すってのはいい気がしないわね。」
すずかも雑魚1の時に感じたらしい。
「割り振るのが難しいけれど、対戦した時に覚悟を決めないとね。」
朱音も普段の明るさを失ってしまっている。
「みんな微妙にかすり傷とかしているから、一旦帰ろう。」
ハカセが街に戻る事を言ったが、返事もできず街に戻る方向に全員が向いた。