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街へ戻ると守衛の兵士達が僕達の事を取り囲んだ。その中から見慣れた水色のメタリック甲冑の水泡蘭先生が出てきた。
「お疲れさまです。取り囲んだが、別に君達を捕まえる訳では無いよ。道を作ってあげたのさ。」
見れば周囲に物凄い人だかりである。
「なんですかこれ?僕達なんか強烈な事をやりましたっけ?」
僕は思わず聞いてしまったのだが、周囲の話し声で理解してしまっていた。
「まぁ、今回のライヴ配信で数名がリアルタイムで見ていたのが口コミでこの有り様だよ。特にキラー君にみんなの質問が来てしまいそうなのでね、私が手配しておいた。訓練場の宿舎に行くでしょう。ま、そこまで送りますよ。」
水泡蘭先生が言うまでも無く、全て僕の鉄パイプから出た魔法に注目が注がれてしまった。
「これから大変ね。みんな魔法で殺しちゃう?」
彩希が笑いながら怖いこと言い出した。
「たしかに僕の魔法みたいのをみんなが見たいのは解るけれど、無闇にできないって。」
兎に角人類初?らしき魔法の件で大騒ぎになってしまった。
「浅い階層に居たらみんな寄って来ちゃいそうだから、今度からもっと下の階層に行こうよ。やっぱりアイドルと一緒で騒がれると嬉しいけれど、鬱陶しいよね。」
桃が槍を磨きながら話ている。
「そうだね。大変だけれど、此れからはやむを得ない事だからさっさと悪魔も倒しちゃいましょ。」
いくみもナイフの確認に余念がないが的確な答えを出してきた。
「訓練場の売店しか使えないわ…」
すずかとハカセが街に行ったら騒ぎになったらしい。
「訓練場はお城直営だから、許可無しで部屋迄来れないからね。おかげで、すずかなんか謎の握手されたりしてるし、僕も街の売店で盾を見ようとしたけれど無理だった。」
相当ハカセも騒ぎに大変な思いをされたらしい。
魔法使いって名乗ったら謎のモノが飛んだってだけなのにね。
まだ僕には魔法使いって実感がわかない。わかんない。