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「本当にハカセ……小春に言われて、どうなのよ?」
いくみの問いに、
「……うん、ちょっと気持ちいい……」
オイ!ハカセ!!
「こんな大切な時に何を言ってんのよ!ホント……気にしているのかと思ったあたしがバカだった…気持ちいいって……」
そりゃ、いくみが呆れるのは勿論である。
「小春!僕はキラーを守るよ!ありがとう!!!」
ハカセ君…
既に小春がドン引きしてますけど……
「あ、アタシ……そんな変な事言って無いのに……ハカセさんが頑張るのなら……アタシは後ろで見てます……」
小春の物凄い警戒心……
「当たり前でしょ?ドMにも程がある。こんな大変な時に……それも、小春が一生懸命に言った言葉に……『気持ちいい』って……」
彩希もかなりの引き具合である。
あっ!
ついでに僕も、何となく近寄りたくないもん…
「ハカセさん……僕は小春から言われて、気にしているのかと思ったので話していたのですが……」
うん、羽角の言葉は完全にハカセはスルーしてたと思うよ…
「そろそろ変態……じゃなくて、ハカセ!キラーと一緒にお願いね!」
朱音さん…
変な話しの後なので、変な想像を醸し出してしまうのですが……
「もういいからっ!」
いくみに一言で怒られた。
「……ハカセ、カタツムリを一緒に確認してよ!!」
僕は野球の素振りから、ハカセと一緒に曲がり角の右側に飛び出す。
「キラー!早く!!」
ハカセの声が響き渡ると同時にハカセ後ろ側にある壁に飛ばされた。
ボンッ!!
僕の火の魔法が、殻の中に入ろうとしたカタツムリの首付近にヒットした。
「……って、そんな事より……ハカセ!!大丈夫か!!」
僕は壁にぶつかったハカセに声をかける。
「うん!大丈夫……ビックリしたけど……」
ハカセが言いながら、元に居た場所へ転がって向かって行くのを確認しながら、僕も戻った。
「キラー君、カタツムリは?まだ燃えてるの??」
彩希の言葉に、僕は再び曲がり角の場所へと顔を出した。
問題のカタツムリなのだが、殻の場所と首付近の間に上手く火が当たったみたいで、カタツムリはまだ燃えていた。
恐らくこの火の状況だと倒せたと思われる。
「……あぁ、キラー殿!どうやらカタツムリを倒せたみたいだ。」
ミアータが僕と同じ様にカタツムリの確認をした。
ゴンッ!!
ミアータが再びカタツムリの殻を剣で叩いた音がした。
「相当硬いのね…あぁ、これじゃ無理だ。」
なんと彩希がミアータの後ろから同じ様に確認に向かっていた。
「…本当は斧やハンマー系の武器で殻を殴りつけて倒すのが通常のグループがおこなう倒し方なのだが、我々は流石キラー殿、火の魔法で倒してしまうとは…」
ミアータが彩希と一緒に燃えているカタツムリを見ながら話す。
斧やハンマー?
羽角が斧なんだけど??
「キラーさん、多分僕じゃ叩いただけで、割れません!!」
羽角がカタツムリの殻を見ながら話した。
羽角じゃ、力が足りないか……
まだまだこれからが厳しい戦いがありそうで、辛い!