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「では、私がナメクジを斬りつけるので皆さん援護をお願いします。」
ミアータが曲がり道の右側に向けて飛び出す。
ゴンッ!!
何故か鈍い音が響き渡る。
次に、ミアータが僕が前に出ようとしたのを引き止めた。
「どうしたのよ?ナメクジが思ったよりも硬かったの?変な音だったけど……」
彩希がミアータがすぐさま引き返した事や、僕を引き止めた事に不安を感じてミアータにたずねると、
「羽角殿……あれはナメクジでは無い。カタツムリだ!!」
ミアータの言葉に……
桃が軽く笑ってしまった。
「羽角〜何を間違えてるのよ!カタツムリならまだ見た目が可愛いから……」
言いながら、桃が気付いたらしい……
「そっか…カタツムリの方が殻があるから……」
桃の言う通り、あの鈍い音はカタツムリの殻に当たった音だったのだ。
「最初は顔を出していたのだが、即座に頭を中に入れたのだ…そして目の下にある触角みたいのが伸びるので、キラー殿に下がってもらった…」
ミアータの瞬時の判断に感謝しかない。
「触角って目じゃないの?」
いくみがミアータミアータに聞くと、
「目の下に短い触角があって……まさかそれが物凄い勢いで伸びるとは思わなかった。」
そんな大変な事がミアータはあったの?
本当にあっという間の判断だったみたいである。
「それでカタツムリの柔らかい場所を斬らないと、話にならないって事なのかしら?」
彩希が冷静にミアータにたずねる。
「恐らく……私が斬りつけた時の音で、殻が硬いのは分かったと思う……」
ミアータが言いながら、僕を見る。
「そうだよね…僕の魔法が上手くヒットすれば良いんだよね!」
僕は此処ではいつも通りの火の魔法を使う事を考えた。
「お願いします。キラー殿しか頼みは居ないと思う。」
ミアータに言われて、僕も恐縮してしまうが兎に角今はまだ見ていないカタツムリを倒す事だけを考えた方が良さそうである。
「じゃ、ちょっとやってみる。」
僕は曲がり角の右側に身体を出す。
いつもの様に野球のバットを……
「あ、危なかった……」
僕は即座に戻った。
「どうしたのよ?キラー君?転んだの?」
彩希が僕を見る。
「ち、ち、違うんだよ!魔法を出す前の動作の間に、カタツムリの触角が動くんだよ!!」
そう…今迄それ程気にならなかったのが不思議だが、僕の魔法を出す為には動作があるのだ。
その間に攻撃をされると無防備なのだ……
「……えーと、私もだけどみんなキラーの魔法の時って、気にしてなかったね…」
朱音がガッカリした表情で僕を見た。
「本当、あたしも全然気にしてなかったよ。」
いくみが同じ様に、しかも不安気に僕を見た。
さて……
どうすれば良いのやら……