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いきなり巨大な斧を持ったニフエイが斧を手離した。
腕にナイフが刺さっている。
「最近さ、私何もセリフが無かったのよ。」
いくみがナイフをニフエイに投げたらしい。
そう、投げたのを気が付かなかったのだ。
「これでも結構練習してたのよ。」
いくみはスッと後ろに隠れた。
「コイツ等!!!」
ニフエイが斧を拾いながら向かってきた。
「待ちな!」
女性の声が響く。
ニフエイが立ち止まり声の主を見た。
「今の奇襲は貴女ね。」
いくみを見ながらヒツバーが此方を見ている。
チフィが横で剣を構えながら、ヒツバーが話を続ける。
「こんな事言っている場合でも無いのだけれど、ニフエイへの攻撃は見事でしたわ。今の私達3人では厳しいって判断しましたので退却します。今度は人数をしっかり集めてから逢いましょう。」
去っていった。
「ねぇ、普通不利だから帰ります。って言いながら帰るのいる?なんなの?」
彩希が言うのも無理もない。
「折角私が決めたのに!って、彩希が言っているのと一緒だよ!なんで退却します。って偉そうに帰っていったのよ!」
いくみも勿論同じ意見である。
「でも退却するのに、私達追えなかったわ。内心ホッとしたもの。」
冷静なすずかが言った通り追えなかったのだ。
「恐かったもん。桃の槍じゃまだ無理だった。」
桃が槍を見ながらヒツバー等が去っていった方向を見ている。
「どうやらこれからはあんなのが出てくるみたいね。人数増えたら大変だ。こっちも退却できるのかな?」
朱音が言ったが恐らく次回向き合えば退却はできないのだろう。
「なんか何もしていないのに疲れたー。一旦戻ろうよ。」
僕はみんなを促して戻る事にした。