309
「あれはカエルじゃないわよね……」
彩希が以前のカエルが出た場所で発見したのは……
「あれはさぁ……ゾンビ?死体も平気で動いているのは困るわ……」
いくみがタブレットで検索をかけたのだが、見れば分かるゾンビの群れに遭遇してしまった。
そう、あの毎回注意しないといけないT字路の以前にカエルが居た場所に5体、此方に向かって来ているのだ。
「身体が麻痺したりするから、直接触れない様に注意しよう!」
ミアータが剣を構える。
しかしゾンビの動きは非常にゆっくりである。
「あれだけゆっくりなのに?危ない相手なのかしら?」
彩希が刀をそれでも構えているのだが、
「ゾンビはゆっくりだけど、着実に囲んで来るって!早く倒さないと………ご飯になるみたいよ……」
いくみの最後の一言が、
「えっ?!ゾンビがご飯に化けるの?何それ??騙されないでしょぉ〜」
桃の言葉に
「桃……ゾンビがご飯になるのでは無くて、ゾンビのご飯に私達がなってしまうのよ…気をつけないといけないって事!!」
いくみが桃に最初にとんでもない脱線した間違いをしてくれたもので、此方としてもそんな間違い方が出来る事に驚きを隠せない。
「相手は5体、確実に倒していくよ!!」
朱音が薙刀で手前3名の足元を薙ぎ払う。
………
これが、相手は無言なのである。
痛みにも依るだろうが、人型の相手なら声を出して味方に動揺を引き起こせる迷惑な方法なのだが……
「そうか…痛みも感じないか……」
言いながら彩希が先程の朱音の攻撃で、負傷している真ん中に居たゾンビの右腕を肩口付近から……斬り落とした。
「彩希の刀とは違うよ!!」
桃が言いながら、前列の右側に居たゾンビの眉間付近に……槍を突き刺したのだ!!
「……それでも動いているのか…どうやら私の鉈では接近戦になるから危険みたいね。」
言いながらすずかが後方に下がる。
「キラーさん、この矢にまたお願いします!!」
小春が言いながら左側前列に居るゾンビに向かって弓矢を射た。
小春にすれば相当な近場での矢を放った為、あいての首もと付近に矢が刺さる。
そうか…
僕はいつも通りに小春の矢を目指して、火の魔法を放った。
………
……
「…ゾンビの弱点がはっきり分かったわよね!」
いくみが燃えさかるゾンビを見ながら話す。
そう、ゾンビ5体はあっという間に僕の放った火の魔法で燃えてしまったのだ。
「キラー君、当然小春の油を含んだ矢が火の勢いをつけた!って事を言い忘れない様に。」
彩希からズバッと一言、言い切られてしまった。
「……それで、この焼けたゾンビはまた生き返るのかしら?」
いくみが近寄らず遠目からその事を言ったのだが、
「勿論……ゾンビは死んでいるのだから、復活する……生き返ると云うのは少しニュアンスが違う……」
ミアータの言いたいのは、元々死体なのだから生き返る訳では無いと言いたいみたいだ。
「そっかぁ!死体なんだよね!!まぁ…一旦勝てたから先に行きましょ!!」
いくみもしっかり理解したみたいだ。
まぁ…そんなに無駄な言い方をしてもねぇ…