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「ちゃんとノーネームウォーターって言いながら魔法使うんだよ!」
桃が名付けた名前が長いって言ってるのに強調。
「無銘水、の方が酒みたいでいいんじゃ………」
と、僕が言っている途中で、
「水じゃん!」
一斉にツッコまれた。
歩きながらの会話に夢中になっていると…………
「ブシャー様が気を付けろと話していたが、本当に危ないな。」
路地から3人組で出てきた。
「あっ!一応名乗ってあげるわ。私はヒツバー、両隣の男共は、ニフエイとチフィ。ま、ブシャー様の部下って感じよ。」
妖艶な感じのヒツバーと名乗る女が桃みたいな槍を構えた。
「ヒツバーよ、コイツらそこそこ強いぞ、注意しろよ。」
ニフエイと名乗る奴が巨大な斧を構えながら冷静な口調でヒツバーに話しかける。
「お前等はブシャー様がわざわざ見に向かった程だ。楽しませてもらおう。」
チフィって奴も冷静な口調で剣を抜く。
「凄いわね。あなた方3人で私達を倒すって言うんだ。」
笑みを浮かべながら彩希が包丁を手にした。
「これ、絶体強いぞ。気を付けろ!」
僕は鉄パイプしか無いから構えるとか微妙だったりする。
「ハカセ、距離があるから私はまだみんな動かないけれど、何か飛んできたら盾で止めてよ。」
すずかは鉈なので、ある程度の接近しないと闘えない。
「やっぱり桃がやるか!」
桃が一気に前に出ようとした処で、ヒツバーの槍が前に向かってきた。
「危ない!」
ハカセが盾で槍を受け止める。
「よく止めたわ。盾しか持ってないって笑っちゃうけどね!」
ヒツバーが高笑いをする。
「桃、無闇に前に行くのは危険よ。ここはじっくりと見て行きましょう。」
薙刀を構えながら朱音が桃に小声で囁いた。
「私と桃は隙を見て突けばいいの。」
今までの相手とは桁が違う気がする。