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毎回地下迷宮探索になる訳ではあるが、実際殆どまだ奥には進めていないのであるが……
「曲がり角とかあったら一度出てから、戻るんだからね!」
桃が前に居るハカセに話しかける。
「…珍しいわね、桃がハカセに話しかけるなんて…」
すずかが話した通り、桃がハカセに言うのは珍しい。
「しょうがないよ!カエルに食べられたとこなんか見たくないもん!気持ち悪い!!」
桃さん?
それって……
ハカセの事、心配してないんじゃない??
「ハカセが先頭に居るからだよ!当然でしょ?」
桃が何気に毒を吐く…
「桃はね……ハカセが桃の脚を見てくるのが、嫌なんだって!!」
彩希がまた……
「も、桃!!本当に??僕はバレて無いと………あっ!……」
ハカセが動揺……
「ホラっ!!ハカセが気付いて無いと思ってたんだよ!やっぱり桃の脚をジーと見てるんだよね…」
いくみも若干引き気味に話している。
「やっぱり……凄い視線が苦手なのよ…」
桃がウンザリした顔でハカセを見た。
「そろそろよ……」
彩希がバカ話から一転緊迫感を一挙に出した。
そう…あのT字路である。
ちょうど右側からカエルの舌で追い抜かれたグループの人達が丸ごと食べられてしまった場所なのだ…
勿論カエルは倒しているのだが、油断は全く出来ない。
「ハカセ!ちょっと見て、戻るんだからね!!桃の脚を見てるんじゃないのよ!!」
ハカセの隣に居る朱音に言われて、恐る恐るハカセが先頭になる…
「僕だって桃の脚ばかり見てる訳でも無いんだけど……」
ハカセがブツブツ言いながら盾を構える。
「じゃあ、誰の脚を見てるのよ?」
いくみー!!
今の質問は微妙だぞ?
こんな緊張してる時に……
「しょうがないじゃない!あたしの脚を今は見てたし……」
いくみが半分怒ってる……
まぁ…桃といくみの脚は見たくなるよ……
ハカセみたいに凝視しないけど。
「キラー君も一緒か…」
彩希がウンザリ顔である…
「ホラっ!!そろそろ行くよ!!」
朱音がハカセの背中をポンッ!と、叩いた。
「そうだよね、ちょっと見るだけだし…」
ハカセが少し顔を出して見る……
戻らない……
「大丈夫!!ここには誰も居ないから!!」
ドヤ顔でT字路にハカセが立っている。
「まぁ…大丈夫みたいだから、良かったんじゃない?」
彩希がハカセが自信を持って右側に曲がる……
「ハカセ!!!バカなの?真っ直ぐ行くのよ!あんなに話したのに……」
そりゃ、いくみに怒られるよね…
右側は行き止まりだし……