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「さてと…食事も終わったし……少し地下迷宮を探索したいと思うのだけれど……どぉかしら?」
食事が終わった後に、彩希が急に姿勢を正して言い出した。
「私は異論等無い…寧ろ休む方が今後の不安へと考える。」
ミアータはやはり食事に時間を費やしていたのを、快くは思わなかったのであろう……
「あたしも彩希が言うのだから文句無いわよ!ミアータも言ってるけど、休むのは今は駄目だよね…敵が強いんだから鍛えないと!」
いくみは別に彩希と打ち合わせをしていた訳では無さそうだ。
完全に彩希の考えだったのであろう。
「桃はご飯も食べたし、頑張れる気がする!!」
おー!
いい加減、桃には頑張ってもらわないと……
「彩希が言うのだから、誰も反論なんかしないよ!!ホラっ!!行くよ!!!」
朱音が率先して動くと、完全に流れが出来るのはいつもの事である。
「外は夕方か……どうせ暗い場所に向かうんだし関係無いか!」
いくみがいつも通りに刀を持ちながら地下迷宮の入り口へと向かう。
「一応念の為……あのカエル、結構居るみたいだから気をつけろ!って、さっき知らないグループの人達が教えてくれたわ。食べられたら、早めに捌く事ね…」
すずかさん?
終始物騒な事言ってませんか?
「でも、本当に食べられたら急いで助けないと……羽角みたいにリバースしてる暇なんか無いからね!」
朱音に言われたが、本当に助けられる場合は急がなければいけないのである。
地下迷宮はすんなりと入り口から真っ直ぐ向かう。
突き当たりを右側に進み、数歩行けば問題のT字路なのである。
「ここまですんなり…ちょっとハカセ!T字路に出てみてよ!!」
彩希がハカセに指示するが、ハカセが可哀想?
イヤイヤ、彼は盾を持っているので……適任なのである……
「……ちょっと待ってよ!深呼吸してから……あっ!向こう側を確認したら戻るよ!!」
ハカセが言いながら、本当に深く息を吸って、吐き出した。
「ホラっ!!ハカセの吐き出した息を我慢して近くで居るんだから、早く!!!」
とんでもない事をいくみが言っておりますが……
サッ!
と、ハカセはT字路へ飛び出した………
立ち止まる
「大丈夫!誰も居ないよ!!」
ハカセは安堵した表情で僕達を呼んだ。
「何も居なければ、単なる道だからね!」
桃が言いながら槍を前に向けながらハカセの隣に向かう。
「この先に変な扉があるのよね…気になるよね……」
彩希が指差す場所には確かに木で出来ている、西部劇のバーの入り口みたいな開閉自由、みたいな木製の扉があるのだ……