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先程の小春の弓矢が命中した事を前提に、羽角が
再びT字路へ一瞬出て誘き出す作戦である。
「ホラっ!来たよ!!」
彩希が指差すピンクの長いカエルの舌を………
ザンッ!!!
なんと!!
すずかの鉈とミアータの剣でその伸びた舌を、地面に刺したのだ。
「一つ言っておくわ…そんなに長い時間は無理よ……」
鉈で舌を押さえつけている割に、すずかが冷静に話す。
「キラー殿、弓矢が……」
ミアータが言う通り、何処にも小春の放った矢が確認出来ない……
「もう一度射ちます!!」
小春が言いながら放った弓矢が………
なんと、舌を地面に刺されながら……
カエルが飛んだのである。
「そうだよね…カエルって跳ねるんだよ…」
いくみの言葉に、どうして小春の矢が刺さっていなかったのか?の、理由は解った……
「こんな想定外と……カエルが向かって来てるし!!」
彩希の言葉通り、茶色の大きなカエルがすずかとミアータに向かって跳んで来たのだ!!
ボンッ!!
僕の火の魔法を跳ねているカエルに向かって放った。
カエルは火を浴び、その場で地面に落ちながら、止まる……
その隙に、すずかとミアータは鉈と剣を地面から外す……
「ちょっと待って!まだ刺したままで!!」
急に彩希が
呼び止める。そして……
「いくみ、今しか無いんじゃない?」
彩希がいくみに目配せをして、カエルの舌を……
刀で斬り落とした。
更に僕の火の魔法はしっかりとカエルの喉元付近を燃やしている……
「もう一度!!」
小春は三度目の弓矢を放った!!
今度は燃えているカエルに向かっての、油を含んだ矢は一気に燃え広がり……
どうやらカエルは息絶えたみたいである……
「一応、腹部を開いて見たけれど無理だわ……ミアータも一緒に確認してくれたけれど……」
すずかの動きが今回、物凄く早かった。
「今回は私の役目が多かっただけよ…どう考えてもこんな動きは私しかいないのよね……」
すずかが後方に居た、羽角を見る。
「どうしたのよ!?羽角??大丈夫??」
朱音がうずくまり、嘔吐している羽角へ近寄った。
「……すいません。ちょっとカエルの内臓とか……人が溶けているのとか見たら……」
羽角がまだ動けない。
「あら!キラー君だけじゃ無かったんだ…まさか羽角君も駄目とは思わなかったわ……」
彩希はカエルの舌を斬った時に、粘着性のある唾液みたいのを刀から拭き取りながら羽角を見た。
「しかし、皆さん凄い巧い流れで攻撃をしてくれました。私はカエルが此方へ跳んで来た時には半分諦めてしまいましたよ……」
ミアータが諦めてたとは思わなかった…
実際、剣から手を離しても問題は無かったと思うし……
「あっ!本当だ!!私も刺したからそこで抑えてたわ……」
いつも冷静なすずかも、こんな所が抜けてたりするんだ。
「私も、キラー殿に言われて気が付いた…」
ミアータまで??
まぁ…そんな全員が必死に動けていたって事で間違い無いよね??
「全員??桃は槍を持ってたけど、出番はいつも通り無かったよ!可愛さだけで終わったわ……」
桃さん?
ちょっと最初はまた凹むのか?みたいな話しだったが、可愛さだけでって……
まぁ…いいや……
本当だから………