272
「さてと…無駄な労力はもう必要無いから、此処からは気を引き締めてよ!」
いくみに言われる前から、僕達の気持ちは引き締まっている。
ちょうど現在は地下迷宮の入り口になるのだが、よくある階段とかでは無いのだ。
入り口の幅は軽く10メートルはなるだろうか、高さはそれよりもあるのでは?
だいたい15メートルはありそうである。
住宅の3階建ての高さよりもあるかな?って感じに見える。
「ねぇ…思っていたより、広くない?受け付けの人数をケチり過ぎでしょ?」
朱音が言う通りなのだ。受け付けで昨日疲れてしまった為に、本日から地下迷宮の探索になるのだが……
受け付けが二人でやりながら大変そうだったのに、此方ではカードを翳すだけ通れる。
「本当に、電車の改札口みたいね…それなのに、中からは変な大声しか聞こえないわ……」
彩希がカードを翳して地下迷宮の入り口に立った時の感想である。
先は思った以上に暗いのは食事中の噂話で聞いていた。
そして、入り口からは緩やかなスロープになっているのである。
「入ってすぐに下っているのね…帰りは登り坂か…面倒だわ……」
すずかが、入り口に居る段階から既にウンザリしているのだが、登り坂とは言え本当に緩やかなスロープであるので、今の段階ではまだ僕は大丈夫だと思っている。
「ついでにミアータも一緒に聴いていたと思うけど、此処から火の玉が入って来たみたいよ…一般的にメジャーな話しでも無いから、そんなに話題にならないのかと思っていたら、なんか凄くメジャーな場所みたいね。」
彩希が周囲を見廻しながら、他のグループが入場して行くのを確認している。
「この中に入れば、急に悪くなる奴等も居るらしいから気を付けた方が安全らしいぞ。本当に何処にでも入った付近で襲いかかろうとする輩は多いからな…」
ミアータが言った通り、結構入り口近辺では弱そうなグループを狙う奴等は居るのは経験している。
「一応入り口にも、冒険者同士では挨拶をして戦わない様にって書いてあるのにね…」
桃が看板を見ながらガッカリした表情で、僕達に話す。
「今迄は僕と朱音の先頭だったけど、今回はミアータも居るから、心強いよ!敵も逃げるね!!」
ハカセが言うが、本当にハカセの先頭なのにビクビクしているのを見れば、誰が見ても弱そうだもんなぁ…
実際よく今迄ハカセに任せて進んで来れたよ。
「きょうからは、ハカセが立派に盾としてやるだろうから、オドオドして敵を増やさないでよ!」
いくみから、ビシッと言われた……
「はい、頑張ります……」
ハカセ………
既にオドオドしてビクビクしてるぞ……
まぁ…いくみは怖いよな……