270
「なんか……」
ハカセが呟く……
「今迄の寝る場所で一番辛いのはなんだろ??」
ハカセが今回の宿泊場所で文句を言い出す。
今回は安い場所にしようとの考えで、僕達も安い宿泊場所に入ったのだが、寝てからほんの30分も経過していないのにハカセだけが文句を言っている。
「だってさぁ、皆んな気にならないの?このベッドの横だけ木でさぁ……邪魔なんだよね…」
ハカセの言っているのは、ベッドの両サイドに木製の柵みたいのがあるのだが……
どうやらハカセだけこの柵に触れるらしい……
「ハカセさん、そこそこ幅はありますよ?ぶつかります??」
羽角がハカセの寝ている場所を見ると、変な横向きなのだ…
「僕は真っ直ぐ寝たら、苦しいから横向いて身体を曲げて寝たいんだよ!ほんとさぁ……ぶつかるんだよね…」
ハカセが文句ばかりである……
「ハカセさん、シェラフがありますから床で寝て下さい!」
羽角の最終判断は、シンプルで正しい。
「もう、本当だよ!枕だけ使って寝るから踏まないでよ!」
あまり怒りを前面に出さないハカセが、あのトイレ事件以来の怒りモードに突入したのではないだろうか?
結局ハカセだけ床がシェラフを使い寝て、そのまま朝を迎えた。
「みんな!早く起きよう!!床が硬くて辛い!!」
えーと……ハカセが起こしたのは理解出来た。
でも……まだ、朝かも知れないけど、まだ暗い朝じゃないか?
「きょうは早出だ!みんな気合い入れて頑張るぞ!!明日はもっとマトモなホテルに泊まろう!!」
ハカセ……
相当辛かったんだな……
ドタドタと女子の部屋にハカセがお越しに向かった……
暫くして……
「それで?」
早過ぎる起床にいくみが怒ってます……
僕達の部屋に、いくみだけ来ての最初の一声でした。
「ベッドをさぁ……ちゃんと見てないの??」
いくみが思いっきりハカセに怒ってます…
ベッドを?
「ホラっ!!前と後ろのロックを外せば下にたためるでしょ?何を騒いでるのよ、寝れないからって!!」
いくみが、ササっと、ベッドの柵を倒した。
固まるハカセ……
イヤイヤ、僕も羽角もだ……
ミアータは普通に見ている。
結構こんな時は傭兵って感じだな……
部屋を出る前にいくみの一言
「あと2時間は寝るから!!」
この言われ方だけで、ハカセの怒りは一瞬で消え去り、いくみの怒りが一瞬で芽生えたみたいである。
「ま、まぁ…あと2時間、寝ようか…早出は中止で……」
弱々しい声でハカセが、柵をたためたベッドに横たわった……
朝にまたいくみに怒られるぞ!!
助けるの難しいからね……