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「森でさぁ、絶対何か出て来ると思ってたのよ…それが出て来ないんだ。」
朱音が言う通り山を降り、街の手前にあった森を抜けて、あとは街迄の真っ直ぐな道を歩けば到着するみたいである。
「普通は、森の強いのが出て来るよね…誰にも会わないって…考えてみればラッキーなんだろうけど、私の強さを披露できなくて、残念過ぎるわ………」
彩希が随分凄い事を言っているのだが、本当に最近の彩希は凄いんだよね…
「結局キラーなんか全然、何もしてないじゃん!役立たずって言われちゃうよ!!役立たず!!!」
桃さん?
思いっきり言ってませんか?
このメンバー、毒能力が強いよね…
「キラーちゃんが、桃に言わせてみれば何もしてないで、勿体ぶってるの?みたいな感情なんだよ…あたしも見てて思うもん!!」
いくみにも言われてしまう……
そんな無駄話をしながら、街の入り口に近付いた。
「今更だけど、今迄の街とは全然違うし…」
彩希が、まだ街迄500メートル程あるが、山から見下ろした時とは全く雰囲気が違う。
入り口には巨大な門が聳え立つがその門が真っ白で高く、そして美しいのだ。
「随分とすんなり入れるわね。何もトラブルを待っている訳では無いけど、すんなりと到着だわ!」
いくみの表情からは、ホッとした感情が溢れ出ている。
プテラノドンを一撃で撃退できたのだから、だいたいの相手には勝てそうな気がする…
「ブツブツ言いながらも到着!!ブツブツ言ってるのは、キラー君だけど!!」
彩希が……
僕は話しの進行をしていただけで、文句なんか言って無いからねっ!!
言いながら、遂にジャスタウェイの街に到着したのだ。
街は巨大な街である。
今迄でこんなに人が大勢居る賑わった場所には此方の世界では無かったのだ。
「説明しても、全然伝わらないと思うよ…実際見なければ賑わいって伝わらないよね。」
朱音の言う通り、例えが伝わらない気もする……
通りから、そのまま街の中に入って行けるのだが入り口には勿論兵士が立っているのだが、これが結構大勢居る。
「ここに兵士の宿舎みたいのもあるし、完全に入り口からの侵攻は防げる様になっているんだ。」
いくみが入り口に居る兵士達の奥に立つ建物にまで、チェックしていたみたいだ。
「山の上から見た時にも感じたけれど、実際に間近で見ると何処に向かえば良いのか分からないわね…」
彩希がそれでも、街を見ながら嬉しそうな笑顔を魅せている。
華やかな場所が似合う笑顔だ。