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「あっ!!!忘れた!!!!」
桃がプテラノドンを攻撃した槍の穂先の血を拭いながら叫ぶ。
「どうしたのよ?洞窟に何か置いて来たの?必要ならキラー君でも連れて、今から急いで行けば?」
あの………
彩希さん?何故か僕の名前が、出て来た様な感じがしますが……
「違うよ!さっき、プテラノドンを攻撃したでしょ??『一番槍!』って言うの忘れたの!!」
桃さん?
本気でどーでもいい事だと思うよ〜
まったく、何をみんな考えてるんだか?
「それだけ桃の怒りのパワーが凄かったって事なんじゃない?何しろ初めて桃が本当に一番槍だったのだから。」
いくみが言う通り、毎回忘れた頃に一番槍だった…
それが本当に一番槍だったのに、言い忘れるって…
「でしょ!本当にさぁ、こんなチャンス無かったのにさぁ……勿体無い。」
桃が本当に悔しそうである。
まぁ、誰も関係無い事でもあるが……
「それよりも、洞窟で思い出したけど…ミアータ、洞窟に鉱石とかあったのかしら?そのまま出て来ちゃって存在すら忘れてたけど…」
彩希に言われて、僕も今更ながら思い出した。
そんな話しをしていたわ……
「あぁ、鉱石か……出口近くに色々と掘っていけば出る場所がある。君達が外に出たがっていたので、特に説明する事も無かったのだが……」
ミアータがガーゴイルの姿なのに、随分と気まずそうな表情をしている。
「えー!!やっだ!!本当にあったの??ちょっと〜ハカセ、一人で行って採って来なよ!!私達は先に街に行くから!!」
彩希さん?
ハカセを犠牲にするなよ…
まぁ、冗談なのだが…
実際、本当にあったのを知ると勿体無いが……
此処から山の出て来た場所に戻るのって、登るから相当な時間がかかるぞ?
「そうだよね…僕も流石に彩希が冗談って思っているけど……目が本気で言ってる気がする……」
ハカセ、僕もそんな気もするよ……
「冗談に決まってるでしょ!まるで私が相当な意地悪キャラみたいになってるじゃない!!」
そんな事言っても、彩希がドSキャラなのは全員一致で分かるぞ!!
「でも、彩希が色々作戦を指示するから動けるんだよね…必要なのは、彩希の頭の回転力!みたいな…」
朱音が彩希の顔を見ながら笑っている。
確かに彩希の指示は、的確なのである。
「そうでしょ?みんなさぁ、私の毒舌!みたいな事しか言わないけど、キラー君に魔法出させるタイミングとかだって結構指示してるのよ?軍師みたいでしょ??」
彩希の指示は結構送ってくれるから有り難いのだが……
あの………
性格がなかなか素晴らしいのがなぁ…
「キラー君、いい作戦を教えてあげる………崖を走って降りたら早く街迄着くわよ!!」
彩希って怖いわ………