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再び5階に到着した。
「あのキタモシが出てきたら嫌だわ。」
彩希が警戒しているが、ゴブリンってゲームの中では弱いイメージしかなかったのに、実物は強そうだというのが分かった。
路地を曲がり前回と違う道に入ると………
「あれ、人型のブタってオークって云うのよね。友好的な方達に見えないけれど。」
いくみが警戒して、桃が調べている。
「オーク自体の特徴しか分からないから避けていきましょ!」
と、桃が避けていくのを決断した直後、
「そこの人間よぉ~逃げんなよ。今から殺してやるから。」
いきなり剣を構えだした。
オークは10名もいる。
「オークって話せるんだ!」
朱音ちゃん!そっちかよ!
「随分こっちを虫みたいな扱いするじゃねぇか!」
オークの1人が此方に剣を振り上げた瞬間
シュッ!と音がしてオークの肩にナイフが刺さった。
「あー!一撃じゃないから怒らせたかも……」
いくみがナイフを投げたのか。
「おいっ!ゴブリンのキタモシみたいな投げをみせやがって!!」
ナイフを抜きながら走ってきた。他のオーク達もその後ろから動き出す。
グサッと音がして先頭のオークが立ち止まる。
桃が槍で刺したのだ。
「早くブタさん逃げてよ!」
桃が相手に槍を刺しながらの会話とは思えないが、なんとなく気持ちは分かる。
怯んだオーク達は若干下がる。
「こっちは向かって来なければこれ以上は戦わないよ。」
僕はオークの団体に交渉した。
オーク達は武器をしまいながら逃げて行った。
パチパチ
後ろから誰かが拍手している。
振り向いた時に1人いた。
「やぁ!見事だよ。巧く戦闘慣れしているね。」
なんかイケメンのお兄ちゃんが1人立っている。
「あっ!ゴメン、ゴメン。私はこの辺りに居る悪魔を束ねるブシャーというのさっ!」
なんか凄い事言ってないか?
続けてブシャーと名乗る奴の話は続く。
「悪魔を束ねるって事は、君達に余計な行動はもうするな!って事だよ。特にそこにいる、キラーだっけ?お前の魔法ってのを見たかったんだけどね。残念ながらオーク達は逃げやがったから。」
僕の魔法が話題になってんのか?怯んだ。
「8階迄はこの私じゃ何もできないから君達安心していいよ。きょうは見に来ただけさ。軽く6階の階段の兵士室を壊してね。そろそろ水泡蘭が来そうだから、私は戻るよ。余計な行動はするなって警告したからね。」
ブシャーと名乗る奴は消えた。
「なんなの?あれがボス??」
いくみが怪訝そうな顔をして言った。
「悪魔に見えなかったけれど、何者なのかしらね。」
彩希も不思議がる。
「なんか足音が激しく聞こえてきたので、水泡蘭先生達でしょう。話を伺いましょう。」
すずかがブシャーと名乗る奴がいた方向を見ながらみんなに言った。