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「何?あのキタモシって…たまたまキラーちゃんの魔法が飛び出て居なくなったけど、絶対に強いよ。」
いくみが今のゴブリン達の事でちょっと怯んでしまっている。
「これからはあんなのが出てくるのかしら?なんかいきなりナイフ投げられた時に動けなかったわ。」
彩希も同じ感じだ。
「キラーは凄いや!僕なんか盾を構えているだけだったし。」
ハカセが言っているが、ハカセの盾にナイフが行かなければ犠牲者が出ていた筈だ。
「ちょっと疲れちゃったし、戻ろうよ!」
朱音の言葉に誰も異論を唱える者はいない。
「ゴブリンが出ましたか。キタモシは過去に何人も殺られてます。ナイフの使い手ですので、これからも注意してください。あっ!いくみさんなんか同じ様に使えたら結構有利ですよ。」
水泡蘭先生にシャザール城の兵士室で話をした。
城を出て僕は訊ねた。
「なんかみんなで魔法の事を話すの避けていたよね?」
「さっき彩希がなるべく私達がどんな戦い方をするのか止めようって…」
桃が結構真面目な顔をして言った。
「これからは何処で敵が見ているのか判らないから、公表しない様にしようと思って。キラーの魔法を見た時に思ったのよ。私達目立つし!」
彩希は結構冷静だった。
「二刀流のナイフの使い手になるには私もキタモシみたいな投げるのもありだなって感じたよ。練習だ。」
いくみもようやく沈んだ気持ちを切り替えてくれた。
街にいれば大丈夫かも知れないが、やはりダンジョンは怖いと云うのを痛感した。