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「一応念の為、ガーゴイルさん……一緒に居るコウモリ男を倒してもいいのよね?」
彩希が念の為と言いながら、ガーゴイルにたずねる。
「そう。我々4名のうち1名でも倒されていれば通す。但し、君達の誰かが倒れたら今回は引き返してもらう。ルールはそれだけだ。簡単だろ?」
時間稼ぎでガーゴイルにたずねたのかも知れないが、随分とアッサリした説明を請けた。
「それで、いつから始めればいいの?」
いくみが刀を構えながらも聞いてみる。
「そうだな……今の距離からだと、すぐには接近戦にならないだろう。この距離から始めようか…特別に………毎回なのだが、君達が『始め!』の掛け声を出してくれたまえ。」
随分余裕だな…
慣れているんだろう。
ガーゴイルがムカつく感じにしか見えない。
距離はおよそ25メートル程か?
小学校のプールの広さ程度の距離はある。
ここは、しっかりと作戦を練りたいのだが……
そんな空気感は無いみたいだ。
「じゃ、私が代表して……」
彩希が刀を構えながら……
『始め!!』
彩希の掛け声に、
ヒュンッ!!
一気に小春の弓矢が風を切る。
「当たらないか…」
小春の残念そうな顔を横目に……
キンッッ!!
コウモリの一体がハカセの盾にナイフを投げた。
「どうやら、遠距離戦は向こうに分がありそうよ…」
朱音がナイフを、なんと!!薙刀で振り落とす。
凄い技だわ…
「いくみ!!」
彩希がいくみを呼ぶ……
ザンッ!!
「ホラっ!!キラーちゃん!!火を……」
えーと……
彩希といくみが同じコウモリ男の両腕を縦に斬り落としているのである……
僕はいくみに言われて、慌てて火の魔法をコウモリ男に命中させた。
悲鳴というか、叫び声が響き渡る。
「ホラっ!!ハカセと羽角君!!カニと同じよ!!」
彩希に言われて、僕同様に二人は燃えたコウモリ男を、川に落とした。
「これで勝ちでしょ?文句無いわよね??」
彩希がまだ身構える体勢ではあるのだが、ガーゴイルに言う。
「そうだね……我々の敗戦を認めよう。」
ガーゴイルは言いながら、拍手をした。
「そんな拍手は要らないわ……その合図がサメを呼ぶのね?」
すずかは言いながら鉈を構える。
「あぁ…拍手は君達に送ったのと同時に、川に落ちた彼を処分しないといけないのでね…」
ガーゴイルが送った視線には水面を真っ赤にしながら、巨大なサメが泳いでいた。
「まさか、あんな一瞬で斬り落としてしまうとは、私もどうやら君達をみくびっていたみたいだよ。」
淡々と話すガーゴイルに一応は今は戦意は無いと思われる。
「じゃあ、約束通り通らせてもらおうかしら?」
いくみはそれでも相手が動く迄は歩こうとしないで見ている。
先日の件があるから、当然と言えば当然の事でもあるのだが……