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「うん、完全に身体に穴開いてる。一体何を飛び出しているんだか?貴方…………変態?」
彩希がクモの遺体確認をしながら、最後にとんでもない事言ってないか?
「僕も原理とか理解できてないし、手応えもないけれど、縦に振り落としたら出るみたい。」
結局何が出ているのかも誰も判っていない。
「もうキラーちゃんとかキラー君や、呼び捨てなんかできないねっ!私はキラーさんて呼ぼうかしら?」
いくみさん?「さん」付けなだけで微妙な距離がある気がしちゃいますけど………
「キラーさん~あっ!なんか照れてる。」
桃が久しぶりに戦闘を終えた後に泣いていないのが僕には嬉しい。
「今はまだ5階で少しこの階を見てみましょう。まだキラーの魔法も気になるしね。」
彩希がクモの遺体からは何も取れない事が判明してまだ少し行こうという事になった。
「話は終ったかい?」
いきなり暗闇から数名の人影が………
人では無い。
「君達とは初めてだが、私はゴブリンのキタモシって云う、まぁ………ここで、殺し屋さっ!」
言いながらナイフを投げつけた。
ハカセの盾に偶然当たり助かる。
「よく防いだよ。最近はこの一発で死ぬ奴ばかりだったからね。」
ゾロゾロと10名程の緑色の人達が出てきた。
「これ、ヤバい奴等だよ。」
朱音が薙刀を構えながら、前に行こうとした横を、
「一番槍!!!」
桃がいきなり槍持って突撃していってしまう。
「バカね、一番槍は倒した時に言うものよ。」
鉈を振り上げ相手の剣とすずかが当たる。
「動くしかないか……」
いくみが久しぶりに二刀流と言わないで向かう。
「ハカセ!桃とすずかを守りながら向かって!キラーは朱音といくみを。私はここにいるから。」
彩希~最後に相変わらず凄い事言ってるけど!!
「まぁこんな戦闘初めてだからね。」
僕は鉄パイプを縦に振り落とした。
やっぱり何か出て、1体のゴブリンが悲鳴と共に腹部を押さえて倒れた。
「キタモシ首領!アイツ何を………」
浮き足立つ相手に桃が槍を突く。
腕辺りに刺したのを期にリーダーみたいなゴブリンのキタモシが
「退け!!」
との号令で去っていく。
「今のその飛び出してきたのは想定外だったよ。今回は我々の負けだ。認めよう。」
言いながらキタモシも闇に消えていった。