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「ねぇねぇ、カニってさぁ〜川に落とされただけでしょ?仕返しに来たりしないのかな?」
桃の素朴な疑問に、
「落ちたついでに川で多少は流されてるから、大丈夫なんじゃない?そんなカニよりも、普通に話せるコウモリの方が来そうよね。」
いくみがカニに対する勝手な解釈で、桃に説明をしたが……だいたいみんな同じ考えって事で、大丈夫だと思う。
コウモリか……
「そのコウモリ男なんだけど、私が斬った腕って……もうくっついていたのよね…なんなの?再生するのかしら?」
彩希が斬った腕だが、斬る前に腕を持ちながら自分で包帯を巻いていたのである。
それだけでくっつくの?
「キラー君、試しに……」
彩希さん?
なんか大変な実験をしちゃいそうな気配なのですが……
「彩希〜失敗したらずっと面倒な事になるから、止めときなって!!」
いくみさん?
笑いながら言うセリフじゃない気がしますが…
「昨日ね、いくみと私でちょっとその話しが出てさぁ……吸血コウモリだから、血で再生したんじゃないかって事を話していたんだよねぇ〜」
朱音といくみはそんな細かな行動も見ていたのか…
「キラーは気が付かなかったの?私も見ていて、くっついているのは確認したのよ。包帯が上手く巻いてあったのかとも思っていたけど…」
すずかもちゃんと見てるのか…
「キラー君は興味無いんでしょ?」
彩希が僕の顔を覗き込む様にして言ってくる。
勿論、コウモリ男には興味なんか一切無くて…
僕は常に女の子しか見ていない!!
……あ、嫌……桃がいつも以上に冷たい視線で僕を見つめる。
このタイミングで告白とかは絶対に有り得ないな…
「大丈夫!!無いから!!」
桃に言い切られた。
「やっぱり血で付けると回復しているみたいね…物騒なコウモリだわ……今度出てきたら聞いてみるわ…」
彩希がそんな事を言っているのを、全員でなんとなく聞き流しているような感じな空気感。
でもなさそうだ。
「そのコウモリの血がさぁ、私達の治療にも使えるのかな?」
いくみが言っている事は理解できた。
治療出来れば万が一負傷しても回復出来る訳で……
「じゃあ、キラー君……」
あの…彩希さん?
ですから……実験をしようとしないでもらいたいのですが…
色々と疑問を残しながら川沿いをまだ歩いているのである……
一度の反省会が戦闘よりも長いのは、僕達の力が足りないからなのである。